枯芭蕉(かればしょう、かればせう)三冬
【子季語】
芭蕉枯る
【解説】
葉の枯れた芭蕉をいう。風雨にさらされてずたずたになった芭蕉は、そのまま朽ち果て、襤褸をまとったようになる。
【科学的見解】
バショウは、バショウ科の多年草で、関東以西の地域で観賞目的に栽培されている。近年、中国の四川省で自然集団が見つかったことで、中国原産とされている。根茎は、塊状で分枝し、多数の横走する側枝を出す。バショウは、バショウ科の仲間の中では最も耐寒性のある種であるため、温帯域(暖温帯地域)で生育することができる。しかしながら、温帯地域は冬になると霜が降りるため、耐寒性のあるバショウといえども地上部は枯れてしまうが、茎もとの生長点と地下部の栄養繁殖体は地温の影響により、枯死することなく越冬することができる。春先になると新しい地上部(葉と茎)を出してくる。(藤吉正明記)
【例句】
芭蕉枯れんとして其音かしましき
正岡子規「子規句集」
病床の手鏡に逆枯芭蕉
川端茅舍「俳句文学全集」
大芭蕉従容として枯れにけり
日野草城「花氷」
枯芭蕉日和の湯気をあげてをり
長谷川櫂「蓬莱」