鬼蓮(おにばす) 三夏
【子季語】
おにばすの花/水蕗
【解説】
スイレン科オニバス属の水生植物の一年草。日本の水生植物の中 で一番大きな葉をつけることで知られている。葉の直径は二メー トルにもなり、その表面は細かいとげで覆われている。七月から 十月にかけて水面に赤紫色の花を咲かせるが、つぼみの多くは開 花することなく、自家受粉で種をつくる。絶滅危惧種の植物。
【科学的見解】
オニバスは、本州(宮城県)から九州の低地に分布する水生の浮葉植物である。どちらかといえば、富栄養性の池や堀などに生育するとのことである。開花後、果実は成熟すると果皮は溶け、中の種子が浮遊することで種子が散布される。また、大型の葉をつけ多数のとげを形成するのが特徴である。昔は、普通に見られたらしいが、近年では個体数が激減し、絶滅危惧種に指定されている。(藤吉正明記)