凍解(いてどけ) 仲春
【子季語】
凍解く/凍ゆるむ
【解説】
仲春の季語。冬の凍てついた大地が春暖で解けること。北海道など北国の凍てついた大地はそれこそスコップが弾き返される硬さだが、凍解により柔らかな春泥に様変わりする。春の訪れを喜ぶ北国の人たちの表情が大地とともにある。
【例句】
凍どけて筆に汲干す清水かな
芭蕉「小文庫」
凍解やいつか倒れしつぐみ罠
素丸「素丸発句集」
凍とけやたえて久しき引板の音
里川「野梅」
凍どけや野づらに高き鶴の脛
青蘿「青蘿発句集」
いて解や木わたの里のかり足駄
大江丸「俳懺悔」
凍どけやかし下駄もある下向道
一茶「九番日記」
凍解や戸口にしけるさん俵
正岡子規「寒山落木」
凍滝の寂寞たりし解けはじむ
松本たかし「火明」