榎の花(えのきのはな) 初夏
【解説】
高さ二十メートルになるニレ科の落葉高木。葉と同時に四月ごろ、葉の根元に小さく、目立たない雄花がかたまって咲き、その上部に雌花がつく。果実は甘く、だいだい色。
【科学的見解】
榎(エノキ)は、本州から九州までの山野に広く分布する落葉高木である。果実は、ムクドリなどの鳥に好まれるため、鳥が止まる大木や電信柱付近には、芽生え(実生)がたくさん見られる。また、葉は多くの昆虫の食樹となっており、日本の国蝶であるオオムラサキの幼虫もこの木の葉を食べて成長する。(藤吉正明記)
【例句】
懸巣鳴いて榎の花をこぼしけり
大谷句仏「我は我」