翁草(おきなぐさ) 晩春
【解説】
キンポウゲ科の多年草。山野の乾燥した日当たりのよい所に生える。釣鐘形の花は三センチほどで下を向き、内側は濃い赤紫色の六弁花からなり、全体が白毛に覆われる。根は乾燥させて消炎、止血剤とする。花が能楽の「善界」で天狗の被る赤熊(しゃぐま)に似ていることから善界草の名も。翁草の名は、実が長い白毛状になって老人の白髪に似ることに由来する。
【科学的見解】
オキナグサは、本州から九州の温帯域に分布するキンポウゲ科の多年草である。日当たりのよい草原を好んで生育する。しかし、現在全国的に草原が減少していることから、本種は国の絶滅危惧種に指定されている。一部山野草として販売されているが、生活圏ではほとんど見ることが出来なくなった稀少な植物である。(藤吉正明記)
名所やいつの世よりの翁草
乙由「わせの道」