麻(あさ) 晩夏
【子季語】
大麻/麻畑/麻の葉/麻の花
【解説】
“アサ科の一年草、大麻の別称。夏には二メートル程の茎に、深い切れ込みのある葉をつけ繁茂する。
晩夏に刈り取り、茎の皮は蒸して繊維を取り乾燥させて麻糸にする。皮を剥いだ後の茎は苧殻といい、盆の迎え火、送り火に使う。”
【科学的見解】
アサは、中央アジア原産の植物であり、戦前まで日本でも繊維利用目的で栽培されていた。アサは、繊維だけでなく、種子も食用にできる有用植物であるが、現在法律により許可なく栽培することはできない。広義の意味でのアサは、繊維利用できる植物全般に使われ、亜麻(アマ)、苧麻(カラムシ)、マニラ麻、黄麻(ジュート)などアサ科とは異なる植物が多く含まれている。(藤吉正明記)
【例句】
ゆり出す緑の波や麻の風
惟然「菊の香」
麻の香のくるも涼しや寺の庭
北枝「柞原」
しののめや露の近江の麻畠
蕪村「蕪村句集」
夕暮やかならず麻の一嵐
正岡子規「子規句集」