簗(やな)三夏
【子季語】
簗打つ、簗さす、簗瀬、簗番、簗簀、簗守
【関連季語】
上り簗、下り簗、崩れ簗、鮎
【解説】
鮎を獲るための仕掛けのひとつ。石を積んで流れを導いた瀬に杭を打ち、その杭に竹の簀を渡したもの。竹の簀が、泳いできた鮎を掬うように受けとめる。竹の簀を飛び跳ねる鮎は、簗番、簗守といわれる人ががつかまえて生簀に放す。近くの鮎の宿では、捕らえたばかりの生きた鮎を塩焼きにして客に食べさせる。簗を設えることを、「簗打つ」「簗さす」という。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【例句】
目通りの岡の榎や簗さかひ
其角「五元集」
簗打や罪の淵瀬を知らぬ人
浪化「浪化上人発句集」
石川や簗うつ時の薄濁り
桃隣「句兄弟」
手に足に逆まく水や簗つくる
西山泊雲「ホトトギス雑詠選集」
大簗のとどろく上に立ちにけり
松本たかし「石魂」