春の月(はるのつき)三春
【子季語】
春月、春満月、春月夜
【関連季語】
月、朧月
【解説】
空気中の水分が増す春は、月も潤んだ感じがする。「秋の月はさやけきを賞で、春の月は朧なるを賞づ」と昔から言われる。月といえば秋の月をさすので、春の一字を加えて春季とする。
【来歴】
『山の井』(正保5年、1648年)に所出。
【例句】
清水の上から出たり春の月
許六「正風彦根蓁躰」
春月や印金堂の木の間より
蕪村「蕪村句集」
浅川や鍋すゝぐ手に春の月
一茶「文化句帖」
肥うつて棚田しづかや春の月
前田普羅「飛騨紬」
春の月ふけしともなくかゞやけり
日野草城「花氷」
紺絣春月重く出でしかな
飯田龍太「百戸の谿」
春の月大輪にして一重なる
長谷川櫂「古志」
あたらしき畝光けり春の月
高田正子「花実」
水の地球少しはなれて春の月
正木ゆう子「静かな水」