若緑(わかみどり) 晩春
【子季語】
緑立つ、若松、初緑、松の芯、松の緑
【関連季語】
松の花
【解説】
松の新芽のことである。晩春、枝先に十センチから三十センチの新芽を直立させる。まっすぐ空へ伸びるさまをとらえて緑立つという。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【科学的見解】
松の仲間としては、そのほとんどが常緑性木本植物であるが、一部落葉性木本植物が存在する。身近な常緑性の松としては、クロマツとアカマツが存在する。クロマツは、葉が比較的硬く、耐塩性があるため、海沿いの岩場に自生し、また砂浜の砂防林としても活用されている。アカマツは、クロマツに比べ葉が柔らかいのが特徴で、内陸の荒地や攪乱地などに自生している。一方、落葉性の松としては、カラマツが知られており、標高の高い場所に植栽または自生している。(藤吉正明記)
【例句】
古道をみかへる松のみどりかな
其角「五元集脱漏」
つまみゆく堤の松のみどりかな
蝶夢「雲集紀行」
静さやゆふ山まつの若みどり
闌更「半化坊発句集」
緑なす松や金欲し命欲し
石橋秀野「桜濃く」