夕立(ゆうだち、ゆふだち)三夏
【子季語】
ゆだち、よだち、白雨、驟雨、夕立雲、夕立晴、村雨、スコール
【関連季語】
夏の雨、虹
【解説】
夏の午後のにわか雨、ときに雷をともない激しく降るが短時間で止み、涼しい風が吹きわたる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
よられつるのもせの草のかげろひて涼しく曇る夕立の空 西行法師 『千載集』巻三夏
【実証的見解】
夏の強い日差しで生じる上昇気流によって積乱雲が急激に成長し、局部的に激しい雨をもたらす現象。
【例句】
夕立にやけ石寒浅間山
素堂「素堂句集」
夕立のあと柚の薫る日陰かな
北枝「猿丸宮集」
夕立や草葉を掴むむら雀
蕪村「蕪村句集」
夕立が始まる海のはずれかな
一茶「七番日記」
夕立の鞍に着せたる合羽かな
森鴎外「うた日記」
夕立や池に竜住む水柱
村上鬼城「鬼城句集」
温泉の客の皆夕立を眺めをり
高浜虚子「六百句」
わだつみのゆふばえとほき夕立かな
日野草城「花氷」
本願寺の屋根を襲へる夕立かな
日野草城「花氷」
翠巒を降り消す夕立襲ひ来し
杉田久女「久女句集」
大空を鳥流れ飛ぶ夕立かな
長谷川櫂「松島」
夕立に忘れられたる玩具かな
高田正子「玩具」