更衣(ころもがえ、ころもがへ) 初夏
【子季語】
更衣ふ
【解説】
江戸時代、四月一日と書いて「わたぬき」と読んだ。この日に綿入れを脱いだからだという。今では冬から春に着用していた衣を夏物に替えることをいう。
【例句】
長持へ春ぞ暮れ行く更衣
西鶴「落花集」
ひとつぬひで後に負ぬ衣がへ
芭蕉「笈の小文」
越後屋に衣さく音や更衣
其角「五元集」
恋のない身にも嬉しや衣がへ
鬼貫「鬼貫句選」
衣更て坐つて見てもひとりかな
一茶「句帖」
冷々と雲に根は無し更衣
渡辺水巴「水巴句集」
衣更へし腰のほとりや袴はく
原石鼎「原石鼎全句集」
衣更へてたのしき手紙懐に
星野立子「続立子句集第二」
人にややおくれて衣更へにけり
高橋淡路女 (雲母)
衣更鼻たれ餓鬼のよく育つ
石橋秀野「桜濃く」
とりとめし玉の命や更衣
長谷川櫂「虚空」
」