汗(あせ)三夏
【子季語】
玉の汗、汗ばむ、汗みづく、汗みどろ、汗水
【解説】
皮膚にある汗腺から出る分泌物。暑いと盛んに出て皮膚を濡らすが、風が吹くと、汗が体温を下げので涼しい。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
汗は、汗腺から分泌する液体でほ乳類特有のもの。ほとんどは水分であるが、わずかに塩分を含む。おもに暑いとき、体温を下げるために分泌されるが、緊張時や興奮状態にあるときにも分泌される。成人では夏、一日に二から三リットルもの発汗量をみる。汗自体は無臭であるが、皮膚にある菌の影響で臭いを発するようになる。
【例句】
汗水は暑さよりわく湯玉かな
季吟「山の井」
美しき詞にも似ぬ玉の汗
杉風「百曲」
汗の香に衣ふるはな行者堂
曾良「雪まろげ」
汗入れて妻わすれめや藤の茶屋
蕪村「夜半叟句集」
三時打つ烏羽玉の汗りんりんと
川端茅舎「川端茅舎句集」
税吏汗し教師金なし笑ひあふ
加藤楸邨「山脈」