金魚(きんぎょ)三夏
【子季語】
和金、蘭鋳、流金、丸子、出目金、獅子頭、阿蘭陀獅子頭、錦蘭子、銀魚
【関連季語】
金魚玉、金魚売
【解説】
中国から渡来した観賞魚。和金、流金、出目金、蘭鋳などの品種があり、水槽や金魚玉に入れて飼う。尾鰭を翻して泳ぐ様が涼しげであるところから、夏の季語とされる。
【来歴】
『俳諧歳時記』(享和3年、1803年)に所出。
【実証的見解】
金魚はコイ科フナ属の淡水魚。緋鮒の交配を重ねてさまざまな品種が生まれた。原産地は中国長江流域浙江省近辺とされ、室町時代に日本に伝わった。当初は値段も高く、庶民には手の届かないぜいたく品であったが、江戸時代後期には大量養殖に成功し、庶民も、陶器などに入れて飼えるようになった。養殖地としては愛知県弥富市、奈良県大和郡山市が有名で、品評会なども盛んに行なわれている。
【例句】
いつ死ぬる金魚と知らず美しき
高浜虚子「六百五十句」
翠陰に池あり金魚彩れる
青木月斗 (同人)
一ぴきに減ってしまひし金魚かな
青木月斗 (同人)
金魚大鱗夕焼の空の如きあり
松本たかし「松本たかし句集」
尾を振つて金魚なかなか進まざる
長谷川櫂「新年」