枇杷(びわ、びは) 仲夏
【子季語】
枇杷の実
【関連季語】
枇杷の花
【解説】
枇杷の果実のこと。枇杷は梅雨のころ、その大きな葉陰に電球をともしたような実をたくさんつける。果肉は甘く生食されるほか、缶詰に加工したりジャムにしたりする。実の中に大きな種を一つ持つ。長崎の茂木枇杷、房州の田中枇杷が有名である。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【科学的見解】
枇杷(ビワ)は、バラ科の常緑高木で中国南部原産。おもに本州南部、四国、九州に分布する。多くは果樹として栽培される。高さは約十メートルほどになる。葉は濃緑で大形の長楕円形。表面につやがあり裏には産毛がある。花は、十一月から十二月に咲き、芳香がある。六月頃、楽器の琵琶に似た一口大の実が黄橙色に熟す。葉と種子は薬用になる。(藤吉正明記)
【例句】
枇杷黄なり空はあやめの花曇
素堂「知足斎日々記」
葉かくれぬ夏こそ至れ枇杷の色
蓼太「一夏百歩」