青梅(あおうめ、あをうめ) 仲夏
【子季語】
梅の実、実梅
【関連季語】
梅干、梅酒
【解説】
熟さない梅の実をいう。梅は梅雨のころ、みずみずしい浅みどりの芳香のある実を結ぶ。固くて酸味が強いが、梅酢や、梅酒、煮梅などを作る。梅干は黄をすこし帯びた実を用いる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
妹が家に咲きたる花の梅の花実にしなりなばかもかくもせむ 藤原八束『万葉集』
【科学的見解】
梅(ウメ)の実は、有機酸(クエン酸など)やミネラルを多く含んでいるため、健康食品として愛されてきた。しかし、未熟な果実(青梅)や種子の中には、アミグダリンという物質が含まれており、それらを大量に摂取すると中毒を起こす場合がある。(藤吉正明記)
【例句】
うれしきは葉がくれ梅の一つかな
杜国「春の日」
実の落ちる夜の音奇なり軒の梅
太祇「太祇句稿」
青梅に眉あつめたる美人哉
蕪村「五車反古」
青梅に手をかけて寝る蛙かな
一茶「寛政三年紀行」
青梅に塩のしむ夜か蟾の声
梅室「梅室家来」
青梅や空しき籠に雨の糸
夏目漱石「漱石全集」
青梅や小房ながら清浄に
大谷句佛「我は我」
夕日いま高き実梅に当るなり
星野立子「立子句集」
摘みためて石の重みや梅の籠
長谷川櫂「天球」