葎(むぐら)三夏
【子季語】
八重葎、小児教草、葎生、葎の宿、葎の門、もぐら
【関連季語】
金葎、葎茂る
【解説】
夏、盛んに茂る雑草のこと。人も訪れることのない荒れ果てた庭で、ぼうぼうと繁っているさまをいう。ヤエムグラという植物があるが、これのみをさすのではない。
【来歴】
『俳諧御傘』(慶安4年、1651年)に所出。
【文学での言及】
故里はむぐらの軒もうらがれて夜る夜る晴るゝ月の影かな 式子内親王
月影を葎の門にさし添へて秋こそ来れとふ人はなし 藤原定家『風雅集』
【科学的見解】
八重葎(ヤエムグラ)は、アカネ科ヤエムグラ属の在来蔓性越年草。日本全土の野原や空き地に自生する。茎は四角く、逆向きの小さい刺を持つ。細長い葉を八枚、輪生につける。夏、葉腋に黄緑色の四弁の小花をつける。その他の種としては、カナムグラ、ヨツバムグラ、クルマムグラなどが存在する。これらの種の茎や葉は、逆向きの刺により衣服に張り付くことから、草花遊びとしても利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
山賤のおとがひ閉づる葎かな
芭蕉「続虚栗」
夕顔のあとからのぼるむぐらかな
凡兆「荒小田」
古寺や葎の下の狐穴
闌更「半化坊発句集」