秋の日(あきのひ)三秋
【子季語】
秋日、秋の朝日、秋の夕日、秋日射、秋日影、秋の入日
【解説】
秋の日の光であり、秋の一日でもある。秋の太陽は残暑をもたらすが、しだいに爽やかになり、晩秋には目に見えて日差しも衰える。秋の一日は、秋分を過ぎるとしだいに日が短くなり、冬が近づくころには、釣瓶落としいわれるように、一気に暮れてしまう。
【来歴】
『改正月令博物筌』(文化5年、1808年)に所出。
【文学での言及】
時雨つつ袖だにほさぬ秋の日にさこそ三室の山は染むらめ 藤原定家『新勅撰集』
霧薄き秋の日影の山の端にほのぼの見ゆるかりの一つら 従三位為信「風雅集』
残りける秋の日数をかぞへつつ霜の夜な夜なうつ衣かな 亀山院『続千載集』
【例句】
汐くみて秋の日光る桶のそこ
蝶夢「秋好む紀行」
秋の日や山は狐の娵入り雨
一茶「九番日記」
秋の日のかりそめながらみだれけり
去来「曠野後集」
秋の日やちらちら動く水の上
荷兮「曠野後集」
沓掛や秋日にのびる馬の顔
室生犀星「遠野集」
香しく天地を干す秋日かな
長谷川櫂「松島」