早稲(わせ)仲秋
【解説】
稲の品種で早く実を結ぶもの。稲は本来暖かな地方を起源とするが、夏が短い北の地方では、開花も熟成も早い品種の早稲を用いることが多い。
【科学的見解】
農作物の栽培において、品種間で収穫時期が異なるが、早く収穫できるものを早生、続いて中生、収穫が遅いものを晩生として、区別している。イネの早稲(早生)品種としては「コシヒカリ」や「あきたこまち」など、中生品種としては「日本晴」など、晩生品種としては「ヒノヒカリ」や「山田錦」などが知られている。(藤吉正明記)
【例句】
早稲の香や分け入る右は有磯海
芭蕉「奥の細道」
早稲の香や聖とめたる長がもと
蕪村「夜半叟句集」
早稲の香や夜さりも見ゆる雲の峰
一茶「九番日記」
早稲の香や伊勢の朝日は二見より
支考「梟日記」
早稲の香や雇ひ出さるゝ庵の舟
丈草「有磯海」
早稲の香や有磯めぐりの杖の跡
浪化「有磯海]
家めぐり早稲にさす日の朝な朝な
松瀬青々「倦鳥」
旅寝して早稲の香りのどこよりぞ
長谷川櫂「蓬莱」