行く年(ゆくとし)暮
【子季語】
暮れ行く年、年逝く、年流る、流るる年、年浪流る、去ぬる年、年送る、年歩む
【解説】
押し詰まった年末、忙しい日々の束の間に、過ぎ去ったこの年を思い浮かべる。また残り少なくなった暮れの日数にも感慨深いものがある。
【例句】
行く年や石噛みあてて歯にこたへ
来山「元禄七年歳旦牒」
行年や芥流る々さくら川
蕪村「夜半亭」
行年の脱けの衣や古暦
蕪村「落日庵」
行く年や空の青さに守谷まで
一茶「我春集」
年を以て巨人としたり歩み去る
高浜虚子「五百句」
ゆく年の調度の中の覆鏡
原石鼎「全句集」
悪妻の悪母の吾の年いそぐ
竹下しづの女「はやて」
年過ぎてしばらく水尾のごときもの
森澄雄「花眼」
激流に呑まるるごとく年は去る
長谷川櫂「初雁」