
【子季語】
いけ火、いけ炭
【解説】
灰の中に埋めた炭火のこと。いけ火、いけ炭ともいう。炉や火鉢によく熾った炭火をたっぷりと灰で覆い、火種を長持ちさせたり火力を調節したりする。
【例句】
埋火も消ゆや涙の煮ゆる音
芭蕉「曠野」
埋火や壁には客の影ぼうし
芭蕉「続猿蓑」
埋火や終には煮ゆる鍋のもの
蕪村「鏡の華」
埋火の夢やはかなき事ばかり
正岡子規「子規句集」
埋火や煙草を探る枕もと
寺田寅彦「寺田寅彦全集」
埋火の手応へもなき火箸かな
星野立子「春雷」
埋火や客去ぬるほどに風の音
富田木歩「定本木歩句集」
埋火や世をくつがへす謀りごと
長谷川櫂「初雁」