水仙(すいせん)晩冬
【子季語】
水仙花、雪中花、野水仙
【解説】
ヒガンバナ科の多年草。花の中央には副花冠という部分が襟のように環状に立つ。ラッパ形のもの、八重のものなどがあり、すがすがしい芳香をもつ。
【科学的見解】
水仙(スイセン)は、ヒガンバナ科スイセン属の外来植物であり、関東以西から九州の海岸付近に生育している。地中海沿岸からアジア中部に自生していたものが移入され、野生状態になったとされている。園芸目的に、公園や庭などにも植栽されている。種子はできず、鱗茎で繁殖している。(藤吉正明記)
【例句】
水仙や白き障子のとも映り
芭蕉「笈日記」
其のにほひ桃より白し水仙花
芭蕉「笈日記」
水仙の花のみだれや藪屋敷
惟然「落柿舎日記」
水仙の香やこぼれても雪の上
千代女「千代尼句集」
水仙に狐遊ぶや宵月夜
蕪村「五車反故」
水仙の束解くや花ふるへつつ
渡辺水巴「水巴句集」
水かへて水仙影を正しけり
日野草城「花氷」
水仙や古鏡の如く花をかかぐ
松本たかし「松本たかし句集」
水仙を活けて鼓をかざりけり
松本たかし「松本たかし句集」
水仙の花のうしろの蕾かな
星野立子「立子句集」
新しき家の見取り図水仙花
長谷川櫂「蓬莱」