大根(だいこん)三冬
【子季語】
だいこ、おおね、大根畑、沢庵大根、青首大根、三浦大根、聖護院大根
【解説】
古名は、おおむね。日本の野菜の中で最も用途の広いものである。煮大根、すり大根、沢庵大根、干大根などにしてよく食す。種類も多いが青首大根、三浦大根、練馬大根などが代表格である。
【科学的見解】
大根(ダイコン)は、アブラナ科ダイコン属の一年草・越年草(冬型一年草)であり、地中海東部原産とされている。古代より栽培されてきた野菜であり、多くの品種が存在する。日本の野生種に海辺付近の砂礫地に生育するハマダイコンがあるが、これは栽培種が野生化したものとされている。春の七草の一つで、蘿蔔(すずしろ)とも呼ばれている。(藤吉正明記)
【例句】
菊の後大根の外更になし
芭蕉「陸奥鵆」
ものゝふの大根苦きはなし哉
芭蕉「真蹟」
大根に実の入る旅の寒さかな
園女「小弓俳諧集」
武者ぶりの髭つくりせよ土大根
蕪村「自画賛」
大根で団十郎する子供かな
一茶「七番日記」
流れ行く大根の葉の早さかな
高浜虚子「五百句」
大根を水くしやくしやにして洗ふ
高浜虚子「六百句」
畑大根皆肩出して月浴びぬ
川端茅舎「川端茅舎句集」
すこやかな泥大根のごとき句を
長谷川櫂「新年」