鶴(つる)三冬
【子季語】
丹頂、鍋鶴、真鶴、袖黒鶴、姉羽鶴、黒鶴
【解説】
ツル科の鳥の総称。秋にシベリア方面から渡来し沼や田圃で越冬、 春には再び去る。鹿児島県出水市や山口県周南市が飛来地として 有名。姿の優美さもあって、古来よりめでたい鳥として尊ばれて きた。北海道の丹頂鶴は渡り鳥ではない。
【科学的見解】
日本で確認されているツル科の野鳥は、七種であり、そのうち北海道東部地域で繁殖しているタンチョウと飛来個体数の多いナベヅル及びマナヅルが有名である。タンチョウは、頭頂部が赤色をしているところが特徴で、ツルと言えばタンチョウを想像する人が多いと推測される。ナベヅルとマナヅルは、冬期に群れで西日本の広範囲に渡来し、特に近年では鹿児島県出水市の水田域が主な飛来地になっており、両種合わせて一万個体を超えている。これらの種は、雑食性で、植物の種子や果実、葉等に加え、ミミズ、貝類、両生類、魚類等広範囲に採食する。近年では、保護活動の一環でトウモロコシ等の穀物が給餌されており、そのような場所に群れで集まる傾向がある。(藤吉正明記)
【例句】
鶴舞ふや日は金色の雲を得て
杉田久女「杉田久女句集」
ふり仰ぐ空の青さや鶴渡る
杉田久女「杉田久女句集」
群鶴の影舞ひ移る山田かな
杉田久女「杉田久女句集」
丹頂や氷らんとして声一つ
長谷川櫂「初雁」