柚の花(ゆのはな)初夏
【子季語】
柚子の花、花柚子、花柚
【解説】
ミカン科の常緑樹。実を採るために山や畑で栽培される。初夏に 五弁の白い小さな花をつける。芳香を放つ花である。
【科学的見解】
柚子(ユズ)は、中国原産の外来柑橘類である。一般的に柑橘類は温暖な場所を好むが、この種は耐寒性があるため、山地などでも栽培が可能である。ユズの仲間としては、花柚子(ハナユズ)が存在し、実付きが良いことから庭木としてよく植栽されている。(藤吉正明記)
【例句】
柚の花や昔偲ばん料理の間
芭蕉「嵯峨日記」
柚の花や能き酒蔵す塀の内
蕪村「新花摘」
うば玉の烏芋の煮しめ花柚かな
樗良「一日行脚」
柚の花や妹の魚干す軒のつま
二柳「津守舟」
吸物にいささか匂ふ花柚かな
正岡子規「子規句集」
箒目に莟をこぼす柚の樹かな
杉田久女「杉田久女句集」
柚の花はいづれの世の香ともわかず
飯田龍太「今昔」
新婚のころの花柚の香と思ふ
長谷川櫂「果実」