唐辛子(とうがらし、たうがらし)三秋
【子季語】
唐辛、南蛮、南蛮胡椒、鷹の爪、ピーマン
【解説】
ナス科の一年草。白い花のあとに青い実をつける。秋、真紅に色 づくと辛味が一段と増すために、香辛料として用いる。
【科学的見解】
南米原産のトウガラシは、ナス科の一年草で、香辛料や食用として広く栽培されている。温帯で栽培する場合は一年草であるが、熱帯などでは多年草や低木状となるとのことである。花は白色であり、果実は熟すと一般的には赤色になるが、中には黄や黒紫などの品種も存在する。(藤吉正明記)
【例句】
すりこ木も紅葉しにけりに蕃椒
宗因「難波草」
青くても有るべきものを唐辛子
芭蕉「深川集」
かくさぬぞ宿は菜汁に唐がらし
芭蕉「猫の耳」
草の戸をしれや穂蓼に唐がらし
芭蕉「笈日記」
此のたねとおもひこなさじたうがらし
芭蕉「岨の古畑」
きざまれて果てまで赤し唐がらし
許六「風俗文選註解」
うつくしや野分の後のたうがらし
蕪村「夜半叟句集」
年よりの唇いやしたうがらし
召波「春泥発句集」
唐辛子一ツ二ツは青くあれ
正岡子規「季語別子規俳句集」
唐辛子からき命をつなぎけり
正岡子規「季語別子規俳句集」
尼寺の戒律こゝに唐辛子
高浜虚子「六百五十句」