蜜柑の花(みかんのはな)初夏
【子季語】
花蜜柑
【解説】
蜜柑は日当たりのよい海に面した山の斜面で栽培される。六月頃、 濃い緑の葉かげに、白い小さな花をつける。よい香りがする。海 風に運ばれる花の匂いは自然の賜物である。郷愁を誘う花である。
【科学的見解】
蜜柑は柑橘類全体に対する総称とも捉えることができるが、狭義の意味ではウンシュウミカンを示す場合が多い。ウンシュウミカンは、中国から導入された柑橘類の種子から偶発的に現れたものとされており、鹿児島県の長島でその個体が発見された。その後、枝変わり等の突然変異によって様々な類似品種が生み出され、関東から九州までの太平洋沿岸暖地で栽培が進められている。花は、初夏に開花し、ほのかな香りを放つ。手で簡単に果皮がむけて糖度も高いことから、日本の重要柑橘類となっている。(藤吉正明記)