椋鳥(むくどり)三秋
【子季語】
むく、白頭翁、小椋鳥
【解説】
春から夏にかけて東北、北海道地方で繁殖し、秋に関東以北西に 群れをなして移る。椋の実を好んで食べ、栴檀、水木、柿、野茨 の実や花蓼の種なども食べる。益鳥である。
【科学的見解】
ムクドリは、ムクドリ科の野鳥で、本州から九州までの地域では留鳥または漂鳥、北海道では夏鳥、南西諸島では冬鳥として生息している。主に人里付近を生息環境とし、農耕地や公園、住宅地等に植栽してある木の実や昆虫等を採食する。繁殖期は、三月から七月までで、年に一回もしくは二回繁殖する。卵の殻の色は水色をしている。秋から冬にかけて大集団のねぐらを形成することが知られているが、春の繁殖期前には大集団を解消し分散する。近縁の種としては、コムクドリが知られており、夏鳥として本州中部以北の地域に渡来する。ムクドリの嘴と足は黄色をしているが、コムクドリは黒色であるため、容易に区別できる。(藤吉正明記)
【例句】
椋鳥や枝に来るほど木の葉散る
桃水「新類題発句集」
椋鳥や分れて戻る二羽三羽
鈴木花蓑「鈴木花蓑句集」