乾鮭(からざけ)三冬
【子季語】
干鮭
【解説】
鮭の腸をとって、塩を振らずに素乾(しらぼし)にしたもの。保存食のひとつで北海道、青森、秋田などでつくられ、軒下や屋根の上で干された。
【例句】
雪の朝独り干鮭を噛み得たり
芭蕉「東日記」
乾鮭や琴の斧うつひゞきあり
蕪村「蕪村句集」
手さぐりや乾鮭はづす壁の釘
道彦「蔦本集」
から鮭の口はむすばぬをならひかな
白雄「白雄句集」
乾鮭の切口赤き厨かな
正岡子規「子規全集」
乾鮭のかりついてゐる柱かな
夏目漱石「漱石全集」
乾鮭に弓矢の神を祭りけり
寺田寅彦「寺田寅彦全集」
乾鮭や天秤棒にはねかへる
村上鬼城「鬼城句集」
手燭して乾鮭切るや二三片
前田普羅「普羅全集」
鮭といふ一本の朱乾びけり
長谷川櫂「天球」