枯葉(かれは)三冬
【解説】
冬になって枯れてしまった葉のこと。まだ枝に付いているもの落ちたものなどさまざま。枝に付いているものは風に乾いた音をたてる。青葉の時よりそれぞれの葉の形や厚みなどの特徴が際だつようだ。
【科学的見解】
落葉樹は、寒い冬から身を守る手段の一つとして、秋から冬にかけて葉を落葉する。地面に落ちた葉は、水分が蒸発し枯葉となる。落葉時には、葉柄内に離層を形成し、葉を落とす仕組みになっているが、一部の種はその離層形成がうまくいかないのか、枯れた葉が落葉せず、そのまま枯葉がついた状態で冬を越す。そのような仲間には、カシワ、ダンコウバイ、クヌギ等が知られているが、これらの種は、春の新芽が芽吹く直前に場所を譲るかのごとく、一斉に落ちてしまう。落ちた枯葉は、植物にとってはいらないものであるが、土壌動物や微生物にとっては栄養源になり、自然界の栄養循環の大切な材料になっている。(藤吉正明記)
【例句】
夕照にひらつく磯の枯れ葉かな
去来「初蝉」
しがみ付く岸の根笹の枯葉かな
惟然「藤の実」
鉢の木の枯葉うごいて暮れやすき
野田別天楼「改造文学全集」
包まれて乾酪眠れる枯葉かな
長谷川櫂「初雁」