南瓜(かぼちゃ)仲秋
【子季語】
とうなす、なんきん、ぼうぶら、栗南瓜
【解説】
夏の間に逞しい茎が地を這い回るように伸びる。大きな黄色い花をつけた後、秋に実を結ぶ。人の頭ぐらいあるものが畑にごろごろ転がっている様は、どことなくユーモラスである。皮はとても堅い。煮付け、スープ、お菓子などに広く利用される。
【科学的見解】
カボチャ類は、ウリ科のつる性一年草で、野菜として日本全国広く栽培されている。カボチャ類は全て外国から導入されたものであるが、昔から栽培されてきたものとしてはボウブラが有名であり、通称ニホンカボチャと呼ばれている。果実の表面はゴツゴツしており、果肉が軟らかいのが特徴である。この仲間としては、日本へ導入された後、京都付近で栽培が行われてきたサイキョウカボチャ(別名:鹿ケ谷南瓜)が知られている。また、近年では、果実の表面に凹凸が少なく甘みの強いクリカボチャ(別名:セイヨウカボチャ)が人気で、北海道などで盛んに生産されている。(藤吉正明記)
【例句】
ずつしりと南瓜落ちて暮淋し
素堂「番橙集」
ころげじと裾広がりに南瓜哉
素丸「素丸発句集」
安んじて動かじとする南瓜哉
露月「露戸句集」
南瓜や斯くも荒れたる志賀の里
二柳「言葉の露」
鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな
一茶「八番日記」
積雲の崩えがちに南瓜実りたり
臼田亜浪「白道」
朝な朝な南瓜を撫しに出るばかり
日野草城「旦暮」
夜は屋根の南瓜を忘れ寝まるなり
石橋辰之助「妻子」
恐るべき暑さとなりし南瓜かな
長谷川櫂「新年」