鶲(ひたき)晩秋
【子季語】
尉鶲、火焚鳥、紋鶲、馬鹿つちよ、団子背負ひ
【解説】
雀くらいの細身ながら、カラフルでよく目立つ鳥である。翼の白紋が印象的で頭を上下しながら尾を振って鳴く。人なつこく、民家の庭先にもやってくる。
【科学的見解】
鶲は、ヒタキ科小型ツグミ類とヒタキ類の一部の鳥類の総称で、それら二グループの中にヒタキと名の付く鳥類が含まれている。ヒタキ類の代表種としては、キビタキ、コサメビタキ、エゾビタキ等が挙げられるが、そのほとんどは日本へ夏鳥として渡来するため、晩秋のころにはいなくなる。一方、小型ツグミ類の代表種としては、ジョウビタキ、ルリビタキ、ノビタキ等が挙げられ、晩秋の時期に観察される種は、ジョウビタキとルリビタキである。ジョウビタキは、全国的に冬鳥として渡来するが、積雪の多い地域では越冬しないとのことである。ジョウビタキは、低地から山地の山林や農耕地、市街地の公園や庭等広範囲の環境で生息するため、冬期に最も観察頻度の高いヒタキ類である。ルリビタキは、本州中部以南の低地や山地の山林内で越冬する。両種ともに雑食性で、樹木の果実や昆虫類等を採食する。(藤吉正明記)