棕櫚の花(しゅろのはな/しゆろのはな)初夏
【子季語】
花棕櫚
【解説】
ヤシ科の常緑高木。特に日本産のワジュロをいう。雌雄異株。五月頃葉の間から太い軸が出て、淡黄色の粟粒のような小さな花を多数つけ、穂状に垂れる。南国的な印象を受ける花。黄色の細かい花が散り敷く様も風情がある。
【科学的見解】
シュロは、九州南部を中心に自生しているが、近年植栽や鳥の種子散布等により関東周辺まで分布している。シュロは、雄花と雌花が別々の個体に形成されるため、開花後種子が形成される方が雌個体ということになる。同属近縁種として、中国原産のトウジュロが知られている。シュロの葉は先が細長く、途中で折れることが多いが、トウジュロは葉が短く折れることはない。一般的に鑑賞として植栽されているのは、トウジュロの方が多い。(藤吉正明記)
【例句】
梢より放つ後光やしゆろの花
蕪村「新花摘」
庭を掃く拾得淋し椶櫚の花
素丸「素丸発句集」
手拭も動く小風やしゆろの花
呂風「東西夜話」