春の水(はるのみず、はるのみづ) 三春
【子季語】
春水、水の春
【関連季語】
水温む、春の川
【解説】
春の水というと温かくなめらかな印象がある。春になると、雪解けの水や雨で、川や池などの水かさが増す。水面は光り輝き、水音も高くなる。万物の命をはぐくむ水でもある。淡水に言い、海水には使わない。
【来歴】
『俳諧栞草』(嘉永4年、1851年)に所出。
【文学での言及】
【例句】
きのふけふ音ぞきこゆる春の水
杉風「杉風句集」
春の水山なき国を流れけり
蕪村「俳諧新選」
橋なくて日暮れんとする春の水
蕪村「蕪村句集」
春水や四条五条の橋の下
蕪村「蕪村句集」
足よはのわたりて濁るはるの水
蕪村「蕪村句集」
春の水背戸に田作らんとぞ思ふ
蕪村「蕪村句集」
春の水にうたゝ鵜繩の稽古哉
蕪村「蕪村句集」
蛇を追ふ鱒のおもひや春の水
蕪村「蕪村句集」
家形に月のさしけり春の水
一茶「旅日記」
下総の国の低さよ春の水
正岡子規「子規句集」
春水や子を抛る真似しては止め
高浜虚子「五百五十句」
春水や草をひたして一二寸
夏目漱石「漱石全集」
一桶の春水流す魚の棚
渡辺水巴「続春夏秋冬」
昃(ひかげ)れば春水の心あともどり
星野立子「立子句集」
春の水とは濡れてゐるみづのこと
長谷川櫂「古志」