蓴菜(じゅんさい)三夏
蓴(ぬなわ)/蓴の花/蓴採る/蓴舟
【解説】
湖沼に自生する多年生の水草で、古くは万葉集にも歌われている。西暦六百年代から食されるようになった。小さな浮船を竿一本で操り、水面の若葉・若芽を丁寧に収穫する。ゼリー状の透明な粘膜に覆われ、淡白な味とツルンとした舌触りが日本料理に珍重される。
【科学的見解】
ジュンサイは、北海道から琉球に分布するスイレン科の浮葉植物である。葉は、楕円形をしており、花は六月から八月に水面で開花する。生育環境としては、水質がやや酸性に偏り、そこに有機物の堆積した古い池を好むとのことである。(藤吉正明記)
蓴菜や一鎌入るる浪の隙
惟然「藤の実」
長々と蓴恐ろし水の底
嘯山「葎定句集」
面白く塗ばしすべる蓴かな
一我「新華摘」