【子季語】
牛鍋、魚すき、沖すき、鳥すき、饂飩すき
【解説】
寒い冬には滋養となる。鉄鍋を使うのは、鋤の上にのせて焼いたということの名残りか。焼き豆腐、白滝、葱、麩、春菊、などを加え、割り下には、醤油、味醂砂糖の味付け。文明開化の頃より、庶民に親しまれ、野趣もある。
【例句】
すき焼や浄瑠璃をみて泣いてきて
長谷川櫂「蓬莱」
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煮凝(にこごり)三冬
茎漬(くきづけ)三冬
炬燵(こたつ)三冬
【子季語】
掘炬燵、置炬燵、敷炬燵、切炬燵、電気炬燵、炬燵櫓、炬燵蒲団、炬燵切る、炬燵張る、炬燵開く、炬燵板
【解説】
日本に古くからある暖房器具。近頃は電気炬燵がほとんどだが、昔は、床を切って炉を設け櫓を据えて蒲団をかけ暖を取った。また櫓の中に火種をいれた中子を置いて、蒲団をかぶせたものを置炬燵と言った。
【例句】
住みつかぬ旅のこゝろや置火燵
芭蕉「勧進牒」
きりぎりすわすれ音になくこたつ哉
芭蕉「蕉翁全伝」
寝ごゝろや火燵蒲団のさめぬ内
其角「猿蓑」
つくづくとものゝはじまる炬燵哉
鬼貫「鬼貫句選」
草庵の火燵の下や古狸
丈草「丈草句集」
淀舟やこたつの下の水の音
太祇「太祇句帖」
巨燵出て早あしもとの野河哉
蕪村「蕪村俳句集」
腰ぬけの妻うつくしき巨燵かな
蕪村「蕪村俳句集」
猫老て鼠もとらず置火燵
正岡子規「子規句集」
美しき妻驕り居る炬燵かな
尾崎紅葉「紅葉句集」
世の様の手に取る如く炬燵の間
高浜虚子「六百五十句」
悴む(かじかむ) 晩冬
【子季語】
悴ける、こごゆ
【解説】
冬の冷気のため、手足が思うように動かせなくなる状態。ひいてはその状態が心にまで及ぶことがある。
【例句】
飴なめて流離悴むこともなし
加藤楸邨「野哭」
木の葉髪(このはがみ)初冬
【解説】
夏の紫外線や暑さで髪の成長が阻害され、晩秋から初冬にかけて抜け毛が多くなる。それを木の葉が落ちるのにたとえていう。季節感と相まって侘しさを感じる。
【例句】
木葉髪文芸長く欺きぬ
中村草田男「長子」
よき櫛の我が身と古りぬ木の葉髪
松本たかし「石魂」
木の葉髪大木のごと横たはる
長谷川櫂「初雁」
竹馬(たけうま)三冬
顔見世(かおみせ、かほみせ)仲冬
【子季語】
歌舞伎顔見世、面見世、足揃、歌舞伎正月、芝居正月
【解説】
江戸時代、役者と劇場の契約は十一月から一年間で、十一月興行に新たに契約を結んだ俳優が勢揃いし、その顔ぶれを見せることからこうよばれた。初日は午前二時ころから興行があった。現在は京都、南座の十二月興行にその雰囲気が残る。
【例句】
顔見世は世界の図なり夜寝ぬ人
西鶴「花みち」
顔見世や戻りにそしる雪の寸
来山「乙矢集」
顔見世や子々孫々も此の桟敷
太祗「葎亭画賛集」
旅立ちや貌見世の火も見ゆるより
蕪村「蕪村遺稿」
かほみせや矢倉に起る霜の声
几薫「井華集」
顔見せや人の中より明烏
一茶「七番日記」
顔見世の楽屋入まで清水に
中村吉右衛門「ホトトギス雑詠選集」
顔見世の前景気とはなりにけり
日野草城「花氷」
探梅(たんばい)晩冬
【子季語】
梅探る、探梅行、春の便り
【解説】
春を待ちかねて、まだ冬のうちに早咲きの梅を求めて山野に入ること。枯れ尽くした大地の中に春の兆しを探す心映えを尊ぶ。寒気の残る山野を、一輪の梅を探し求める姿は、人生の真を追い続ける心の旅にも似ている。
【例句】
香を探る梅に蔵見る軒端哉
芭蕉「笈の小文」
打ち寄りて花入探れ梅椿
芭蕉「句兄弟」
探梅の人が覗きて井は古りぬ
前田普羅「新訂普羅句集」
大仏のうしろの山の梅探る
長谷川櫂「果実」




