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季語と歳時記

きごさい歳時記

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葛湯(くずゆ)三冬

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【解説】
葛粉に砂糖を入れ少量の水で溶き、熱湯を注いで混ぜたもの。体 が温まるので冬によく食する。幼児や病人にも良い。
【例句】
うすめても花の匂ひの葛湯かな
渡辺水巴「水巴句集」

風落ちて月現るる葛湯かな
前田普羅「普羅句集」

電球のほのと灯れる葛湯かな
長谷川櫂「虚空」

青簾(あおすだれ、あをすだれ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
竹簾、菅簾、板簾、伊予簾、半簾、簾売
【解説】
青竹を用いて編まれた簾。おろしたての新しい簾は、その色もさ ることながら、香りまで漂ってきそうた。
【例句】
青簾いずれの御所の賀茂詣 
其角「けふの昔」

よく答ふ若侍や青簾
太祗「太祗句稿」

うら表おもてはわきて青簾 
白雄「白雄句集」

身一ツや死なば簾の青いうち 
一茶「文化句帖」

ほろほろと雨吹きこむや青簾 
正岡子規「子規句集」

萱町や裏へまはれば青簾
正岡子規「子規句集」

青簾娘をもたぬ家もなし
正岡子規「子規句集」

家壊えて仮の一間の青簾
長谷川櫂「蓬莱」

円座(えんざ、ゑんざ)三夏

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【解説】
渦巻状に丸く平らに編んだ敷物のこと。藁、藺草、菅などを材料とする。縁側や板の間に敷く。 素朴な肌触りが心地よい。
【例句】
君来ねば円座さみしくしまひけり
村上鬼城「鬼城句集」

縁端に放りおこしたる円座かな
松本たかし「松本たかし句集」

青干の葭もて編みし円座かな
長谷川櫂「果実」

年の市(としのいち)暮

季語と歳時記

tosinoiti2【子季語】
破魔矢売、節気市、暮市、師走の市、暮の市
【解説】
年の暮に注連飾りやその他正月用の飾りもの、食料品、縁起物の椀や箸などを売る市のこと。寺社の境内などに市が立ち、多くの人でにぎわう。  
【例句】
年の市線香買ひに出でばやな
芭蕉「続虚栗」

一休が土器買む年の市
芭蕉「もとの水」

押合を見物するや年の市
曽良「戊寅歳旦牒」

水仙の香も押合ふや年の市 
千代女「真蹟」

としの市豆腐の砂を噛む夜かな 
蓼太「蓼太句集三編」

年の市たつうら町は月夜かな 
大江丸「俳懺悔」

年の市何しに出たと人のいふ 
一茶「文化句帖」

馬の尻に行きあたりけり年の市 
正岡子規「子規句集」

年の市十町許りつゞきけり
正岡子規「子規句集」

雨雲の人にかゝるや年の市
正岡子規「子規句集」

父の死を泣くまなく過ぎぬ年の市
渡辺水巴「水巴句集」

宵過ぎの雪となりけり年の市 
日野草城「花氷」

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外套(がいとう、ぐわいたう)三冬

季語と歳時記

【子季語】
オーバー、オーバーコート
【解説】
冬の防寒着の一つで、オーバー、冬コートともいう。昔は厚手のものが好まれたが、現代では薄手で、軽いものが好まれる。洋服が取り入れられた明治中期以降の季語。
【例句】
外套の着かねつ客のかゝへ去る
正岡子規「季語別子規俳句集」

句会にも着つゝなれにし古コート
杉田久女「杉田久女句集」

外套に荒ぶる魂を包みゆく
長谷川櫂「虚空」

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着ぶくれ(きぶくれ)三冬

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【解説】
寒さを防ぐため、衣服を何枚も重ねて着た状態。動きが鈍くなりやすい。従って精神状態にも同様の影響をもたらす。外見を気にしているとこうはできない。端から見ればどことなくユーモラス。
【例句】
着膨れし体内深く胃痛む
松本たかし「火明」

着膨れて海豹の貎してゐたる
長谷川櫂「虚空」

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寒卵(かんたまご)三冬

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【子季語】
寒玉子
【解説】
寒中の鶏卵。寒の卵は滋養があると言われる。割ると黄身が盛り上がりいかにもうまそう。
【例句】
苞にする十の命や寒鶏卵(かんたまご)
太祗「太祗句集後篇」

寒卵かゝらじとする輪島箸
前田普羅「普羅句集」

朝の日の鶏舎にあまねし寒玉子
星野立子「春雷」

寒卵薔薇色させる朝ありぬ
石田波郷「鶴の眼」

ほのと影しあうて二つ寒卵
長谷川櫂「蓬莱」

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蒲団(ふとん)晩冬

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huton【子季語】
布団、掛蒲団、敷蒲団、藁蒲団、羽蒲団、絹蒲団、蒲団干す、干蒲団、片蒲団
【解説】
寒さを防ぐための寝具。蒲団のはじめは蒲「がま」の葉を組んだ円座であったという。蒲団には、綿や藁、パンヤ、羽毛などを入れる。干した蒲団はとりわけあたたかく眠りにつきやすい。
【例句】
被き伏す蒲団や寒き夜やすごき
芭蕉「鹿島紀行」

蒲団着て寝たる姿や東山
嵐雪「枕屏風」

引張りてふとんぞ寒き笑ひ声
惟然「枯尾花」

都人にたらぬふとんや峯の寺
蕪村「新五子稿」

早立ちのかぶせてくれし蒲団かな
一茶「題葉集」

死神を蹴る力無き蒲団かな
高浜虚子「五百句」

布団綴るや老いし腕をさし伸べて
原石鼎「花影」

つめたかりし蒲団に死にもせざりけり
村上鬼城「定本鬼城句集」

我骨のゆるぶ音する布団かな 
松瀬青々「松笛」

ぽつくりと蒲団に入りて寐たりけり
臼田亜浪「旅人」

寝かさなき母になられし蒲団かな
岡本松濱「松濱句抄白菊」

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柚子湯(ゆずゆ)仲冬

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【子季語】
冬至風呂、柚風呂、冬至湯
【解説】
冬至の日に柚子の実を浮かべて湯に入る習慣が江戸時代のころからある。柚子は丸ごと浮かべたり刻んで入れたりする。香りの高い柚子湯は体があたたまり、万病を防ぐとも言われる。
【例句】
白々と女沈める柚湯かな
日野草城「花氷」

冬至湯の煙りあがるや家の内
前田普羅「普羅句集」

月あらむ子あかりを柚子風呂に
臼田亜浪「白道」

柚子湯よりそのまま父の懐へ
長谷川櫂「果実」

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雑炊(ぞうすい、ざふすい)三冬

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zousui【子季語】
おじや、餅雑炊、鶏雑炊、牡蠣雑炊、鱈雑炊、薯雑炊、韮雑炊、卵雑炊、味噌雑炊
【解説】
鍋物の汁、味噌汁、吸い物の汁など残った汁にご飯を入れて煮たもの。野菜や魚介類などを加える場合もある。最近は、残り汁ではなくそれ用に初めからご飯を合わせた端正な雑炊もある。寒いときには体を芯から温めてくれる。
【例句】
へばりつく冬草の戸や菜雑炊
路通「草獅子集」

鴨を得て鴨雑炊の今宵かな
松本たかし「鷹」

雑炊や庇あらはに湖の風
石橋秀野「桜濃く」

雑炊や葱さくさくと降りつもれ
長谷川櫂「初雁」

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