【子季語】
繭団子、団子花、繭餅、繭玉祝ふ
【解説】
繭の豊収を祈願して作る。ミズキ、柳、榎などの枝に繭の形に作った餅、団子を多数つけたもので、繭団子、繭餅、柳餅などともいう。これを小正月に柱などに括りて飾る。十六日から十九日におろし雑煮や小豆と煮て食す。
【例句】
繭玉を祭捨てたる貧家かな
抱一「屠龍之技」
まゆ玉や白ちりめんの肌障り
一音「千題集」
繭玉のみな楽しげに回りつつ
長谷川櫂「初雁」
【子季語】
初音笛
【解説】
元日に竹で作った鶯笛という玩具の笛を吹きながら、売り歩くこと。いかにも春の訪れを思わせる風物。
【例句】
水谺深き夜明けの初音売
臼田亜浪「黎明」
【子季語】
硯洗ふ、机洗ふ
【解説】
七夕の前後、ふだん使う硯や机を洗い清めること。七夕の朝は稲や芋の葉の露を集めて墨をすり、七夕竹に吊るす色紙や短冊を書いた。京都北野神社には御手洗祭があり、梶の葉を添えて硯を神前に供えた。
【例句】
おもへただ硯洗ひの後の恥
園女「住吉物語」
硯の上水迸れ思ひごと
石田波郷「風切」
【子季語】
角伐、鹿寄せ、鹿釣り
【解説】
奈良の春日大社の神鹿の角を切る行事。十月頃牡鹿は交尾期に入り、気性が荒くなる。観光客に危害を加えたり、樹木を荒らしたりするので角を切る。柵に鹿を追い込み、勢子が追いかけて捕らえ、神官が鋸で挽く。
【例句】
角ぎりや礎のこす鹿の京
鬼貫「奈良ふくろ角」
恋すてふ角切られけり奈良の鹿
一茶「九番日記」
【子季語】
洗ひ髪
【解説】
高温多湿の気候のため、夏は特に頻繁に髪を洗う。汗、埃、不快な臭いを落とせば心身ともに爽快になる。
【子季語】
水泳場開始
【解説】
陽暦七月十日前後。海水浴場を開く日のこと。遊泳の安全祈願の神事などをしてから泳ぎ出す。泳ぐ人達のための海の家や売店もこの日から店開きする。
【子季語】
牡丹焚く、牡丹供養、牡丹粗朶
【解説】
花の終った牡丹の枯れ枝を持ち寄って、感謝と供養のために焚くこと。福島県須賀川市の牡丹園では、牡丹の古木に赤松を混ぜて焚く。環境省の「かおり風景100選」にも入っている。奈良県の長谷寺も有名。
【子季語】
入谷朝顔市
【解説】
七月六日から八日まで、東京入谷の鬼子母神(お産と育児の神)で催される縁日。朝早くより鉢植えの朝顔を売る店が境内の内外に立ち並ぶ。明治時代に始まったと言われている。