【子季語】
木蔦
【解説】
ウコギ科の蔓性低木。山野に生え、茎から気根を出して木や岩に這い上る。葉は長さ三~七センチの卵形で、光沢がある。冬でも青々としていることから、落葉する蔦に対してこう呼ばれる。庭木として壁に這わせるなどして楽しむ。
【科学的見解】
冬蔦の標準和名は、キヅタであり、北海道南部から沖縄の低山や人里にふつうに自生するつる植物である。冬に開花し、ハエやアブなどの昆虫に受粉を頼っている。果実は、黒く熟し、鳥によって散布される。キヅタの仲間の園芸品種も存在し、ヘデラなどと呼ばれ園芸店などで販売されている。(藤吉正明記)
タグ別アーカイブ: etc
夜咄(よばなし) 三冬
【子季語】
夜咄茶事
【解説】
冬の炉の季節の茶事。夕方から、和蝋燭、灯心や行灯の明かりのもとで行われる。床の間には、油煙をはらうとして石菖を飾る。炉辺に集い、仲間同士でゆったり話をするような、くつろいだ雰囲気を味わう。
秩父夜祭(ちちぶよまつり) 初冬
【解説】
秩父祭玉県秩父市の秩父神社の例大祭。毎年十二月三日に行われる。養蚕が盛んであった秩父では、昔、絹の大市が開かれ、フィナーレを飾る祭りは「お蚕祭」と呼ばれた。明かりを入れた山車を引き回し、冬の花火を揚げる勇壮な祭り。
年越詣(としこしもうで/としこしまうで) 暮
【子季語】
除夜詣
【解説】
大晦日の夜に、翌年の歳徳の方角の神社仏閣に参詣すること。お参りをしながら新しい年を迎えることにより、よりよい一年を送りたいという気持ちが強くなる。節分の夜に参詣する「節分詣」も「年越詣」という。
むつ 晩冬
【子季語】
むつの子
【解説】
ムツ科の海水魚。成魚は三百メートルから五百メートルの深海に棲む。体長五十センチほどで黒紫色。冬が旬。寒さが極まったころ陸地に近づいて産卵する。煮付け、刺身などで食べる。ことに卵巣は「むつ子」と呼ばれ美味。
竈猫(かまどねこ)三冬
【子季語】
かじけ猫/灰猫/へっつい猫/炬燵猫
【解説】
猫は寒さに弱く、冬になると炬燵の上など暖かいところにじっとしていることが多い。各家庭に竈があったころ、火の落ちた竈の中に入って灰だらけになっていた猫をこう呼ぶ。今は電気釜の上に乗って温まっている猫もいる。
【例句】
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫
松本たかし「火明」
紅葉散る(もみじちる/もみぢちる)初冬
【子季語】
散紅葉
【解説】
美しく紅葉した葉も、冬の訪れとともに色褪せ、やがて冬の風に散っていく。水分が飛んで軽くなった葉は、北風に軽々と飛ばされる。散り敷いた紅葉に霜が降り、静かに冬は深まっていく。
【例句】
たふとかる涙や染めて散る紅葉
芭蕉「笈日記」
行きあたる谷のとまりや散る紅葉
許六「目団扇」
雲早し水より水に散るもみぢ
紫暁「松のそなた」
こやし積む夕山畠や散る紅葉
一茶「享和句帖」
ぬり樽にさつと散たる紅葉哉
一茶「一茶句帖」
葉散る岡の日和や除幕式
正岡子規「子規句集」
二重廻し(にじゅうまわし/にぢゆうまはし) 三冬
【子季語】
まはし/トンビ/インバネス/マント/釣鐘マント
【解説】
外出するときに男性が和服の上に着る防寒着。袖口に鳥の翼のよ うな外被がついていて、広げると鳶が羽をひろげたようになることからトンビともいう。スコットランドで着られていたインバネスを和服用に改良したものだが、和服で外出することがない今はほとんど見なくなった。
桜鍋(さくらなべ) 三冬
【子季語】
馬肉鋤/馬肉鍋/けとばし
【解説】
馬肉の鍋料理。味噌仕立てで、葱、牛蒡、蒟蒻などを添えて煮ながら食す。からだがあたたまる鍋料理のひとつ。「咲いた桜になぜ駒つなぐ」のいう歌から桜は馬の隠語となっている。けとばし は馬肉の愛称。
大根洗(だいこんあらい/だいこんあらひ)三冬
【子季語】
大根洗ふ
【解説】
畑から引き抜いてきた大根を洗うこと。川や井戸水などで洗われて大根は真っ白になる。
【例句】
夕月に大根洗ふ流れかな
正岡子規「子規句集」
