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2月3日「きごさい+」は「食の南蛮文化」

きごさいBASE 投稿日:2017年11月15日 作成者: dvx223272025年9月28日

マブソン青眼さんの俳句弾圧事件についてのお話、いかがでしたか。さて次回の第13回「きごさい+」は年が明けて2月3日(土)、いつもの神奈川近代文学館で開きます。

講師は東京大学で南蛮文化の研究をされている岡美穂子(おか・みほこ)准教授。桃山時代、日本の食べ物がヨーロッパ文化と出会ってどう変貌をとげたか。

ぜひ初春の横浜へお出かけください。

講 師:岡美穂子東京大学准教授
演 題:桃山時代の日本食文化の転換―ヨーロッパとの邂逅から―

講師紹介:おかみほこ 京都大学大学院修了。博士(人間環境学)。2003年より東京大学史料編纂所助手、助教を経て、現在准教授。専門は南蛮貿易、キリシタン史。著書に『商人と宣教師 南蛮貿易の世界』(東京大学出版会、2010年)、共著に『大航海時代の日本人奴隷』(中央公論新社、2017年)。第17回ロドリゲス通事賞受賞。

講師よりひと言:ポルトガル人の来航を契機に始まった日本とヨーロッパの交流は、在来の日本の 文化に大きな変革をもたらしました。よく知られる鉄砲の普及だけではなく、日本人の衣食等に、この時代の日欧交流がもたらした影響が少なからずあり、その痕跡は今日にも見られます。この講座では、現代の我々の生活における16世紀の日欧交流の名残を探究してみたいと思います。

日 時:2018年2月3日(土)13:30〜16:30(13:10 開場)
・13:30~14:30 講座
・14:50       投句締め切り
・14:50~16:30 句会、当季雑詠5句(選者=岡美穂子、長谷川櫂)句会の参加は自由です。

会 場:神奈川近代文学館 中会議室(横浜市、港の見える丘公園) 〒231-0862 横浜市中区山手町110(TEL045-622-6666
みなとみらい線「元町・中華街駅」6番出口から徒歩10分)http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

参加費:きごさい正会員1,000円、非会員2,000円

申し込み:きごさいホームページの申し込み欄から、あるいはきごさい事務局に電話またはファクシミリ(0256-64-8333)でお申し込みください申し込みなしの当日参加もできます。

第12回きごさい+「俳句弾圧事件」報告

きごさいBASE 投稿日:2017年11月1日 作成者: dvx223272025年9月25日

10月29日(日)、第12回「きごさい+」が神奈川近代文学館で開催された。今回のテーマは「俳句弾圧事件-その犠牲と責任を考える」。講師は俳人で比較文学者のマブソン青眼さん。マブソンさんの熱のこもった講座に一同惹きこまれた。

なお、次回、第13回きごさい+は、来年2月3日(土)に開催。
テーマは「桃山時代の日本食文化の転換―ヨーロッパとの邂逅から―」、お話しいただくのは、東京大学准教授、岡美穂子先生。

<講座概要>
僕は日本在住の四十九歳フランス人男性だ。もちろん、第二次世界を経験していない。しかし、八十歳を超えた両親は様々なことを記憶している。たとえば、戦後フランスでは、「第二次世界大戦中のヴィシー政権は自発的にナチス・ドイツと協力したことはない」、「公職や知識人のほとんどが内心では対独レジスタンスの見方だった」というフランス自画自賛の神話が作られ、長らく信じられてきたといわれている。

そこで、1972年に、フランス人ならぬロバート・パクストンというアメリカの歴史学者から、対独レジスタンスの神話を解体する名著が出された。客観的な資料に基づいて、戦時中のフランス政府や多くの知識人が能動的にナチス軍部と協力し、進んでユダヤ人迫害や共産主義者・平和主義者などの弾圧に手を染めていたという事実を、”よそ者の研究者”が証明した。そして1970年代からフランス政府は少しずつ過去の過ちを認めるようになり、同時に植民地の独立を認めたりして、国内でもより開放的な民主主義社会に向かうようになったといわれている。

案ずるには、どんな国でも、将来の平和や民主主義の健全な発展を望むのであれば、まずは過去の軍国主義の暴走を、それに協力した公職や知識人の役割を、そしてその土台である表現の自由の弾圧というシステムを客観的に省みる必要がある。

日本についても同じであろう。第二次世界大戦前の日本においては、表現の自由を無くしてしまい、軍国主義の暴走を可能にしたシステムの法的な要は「治安維持法」である。1925年に公布されたこの法律は次第に範囲が拡大され、1933年に小説家・小林多喜二の拷問による死をもたらし、1940年からはいわゆる「昭和俳句弾圧事件」を可能にした。

当時では、俳句実作において、季語を使わなかったり、自由律を試したり、社会を詠んだりしたというだけで(つまり日本の俳句の王道と定められていた「花鳥諷詠」の掟に従わなかったというだけで)、新体制(軍事政権)に反する考えをもっていると疑われ、その結果、多くの俳人が「治安維持法違反容疑」で特高警察に検挙されることになった。1940年(昭和十五年)2月14日から1943年(昭和十八年)12月6日まで、当時の戦争・軍国主義を批判・風刺した俳句や反体制的な作品を作ったとして、少なくとも44人の俳人が治安維持法違反容疑で検挙され、うち13人が懲役刑を受けた。留置場で心身の苛酷な苦痛を強いられたり、釈放後に病死したりした者もいた。その事件の進行と同時に、日本の俳壇、そして日本社会全体が聖戦礼賛の時代へと突入して行った。

実は今日の俳壇までその「俳句弾圧事件」の影響が認められると思われる。弾圧の史実と作品例を検証した後、弾圧に協力したと思われる俳人の役割を考えることにし、「日本俳句作家協会」会長、のちに「日本文学報国会」俳句部長を務めた高浜虚子の責任も論じた。

この問題に関しての私見は、拙編著『日本レジスタンス俳句撰』序文にあり、インターネット転載を参照 参照サイトはこちらから
 
 最後に、弾圧事件の責任問題とは別に、弾圧された俳人の名誉回復の方法を考え、計画中の「俳句弾圧不忘の碑」建立事業を紹介した。長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」近辺に、有志で建てるという運動は、文学的にも、社会的にも意義があると思われる(筆頭呼びかけ人、金子兜太・窪島誠一郎・マブソン青眼)。

予定されている碑文の最後のくだりは以下の通りである。
「彼ら{弾圧された俳人}の犠牲と苦難を忘れないことを誓い、再び暗黒政治を許さず、平和、人権擁護、思想・言論・表現の自由を願って之を建立します」
詳細は「碑の会」の公式ホームページ参照:http://showahaiku.exblog.jp/ 

結論として、弾圧の被害者であり、懲役2年の刑を受け辛酸な経験をした栗林一石路の、敗戦後の言葉を引用した。「かつて戦争に協力した俳壇の多くは、何等の反省も告白もない」(朝日新聞・文化面、1946年6月17日)。

一石路は戦後「新俳句人連盟」を設立し秋元不死男らと共に「俳壇戦犯」の責任を追及しようとしたが、様々な圧力がかかり連盟において2つのグループが対立したため、真相が決して解明されないまま日本俳壇は今日まできている。軍国主義が再び勢いを見せているこの頃こそ、1940年代に弾圧された俳人の名誉回復と弾圧に協力した俳人の責任追及を果たすべきであろう。今日においても、健全な俳壇の条件は、表現の自由と人権擁護にあるといえよう。二度とあのような野蛮な社会と大戦への道を歩むことがないように、後世に「俳句弾圧不忘の碑」を遺す必要があると確信している。

<句会報告>
*マブソン青眼選
【特選】
蛤と化したる雀食はれけり      青沼尾燈子
韓人の愁思のかたち白磁壺      趙栄順
白文地忌まだ終らない夏の空     三玉一郎
戦果て海鼠ころがる海の底      飛岡光枝
モヒカンの髪高く立て野分かな    金井真紀
ポケットに字足らずの句と団栗    金井真紀
除染されブチ切れてますサツマイモ  金井良祐
反骨心背骨に据えて鳥渡る      神谷宣行
弾圧者みな顔のなき寒さかな     長谷川櫂     

【入選】
冷まじやレジスタンスの俳諧史    吉安友子
反骨の一茶つぶやく茨の実      西川遊歩
嵐越え鯨のごとく男来る       飛岡光枝
日曜の庭に工具や鵙の晴       福田博之
秋の蝶誰か指揮棒振るやうに     前田麻里子
心自由たれ詩自由たれ青葡萄     趙栄順
青空文庫『陰翳礼讃』文化の日    渕上信子
セシウムの有無なく産まれ猪走る   金井良祐
リニアてふ怪獣花野を喰らひけり   青沼尾燈子
月白くひとつ手前の駅降りる     金井良祐
夜の木に四十五羽の黒鶫       長谷川櫂
郁子の実のまだ若きかな妊婦たち   前田麻里子
木守柿空の鳥巣と並びをり      前田麻里子
あいまいな言の葉の前薔薇氷る    飛岡光枝
どの国の雲も友なり鳥渡る      神谷宣行
除染土の袋累々もず高音       鈴木伊豆山
正眼の構へさながら冬の月      葛西美津子
青き目の台風が来てしづかなり    三玉一郎
台風の大河のまへの小屋護憲     渕上信子

*長谷川櫂選
【特選】
嵐越え鯨のごとく男来る       飛岡光枝
心自由たれ詩自由たれ青葡萄     趙栄順
歌ふごとくささやくごとく時雨かな  趙栄順
命ひとつ好きに燃やして秋の蝉    下山桃子
四十五の柿にぎりつぶす見えざる手  三玉一郎
罪寒し俳句作ったばっかりに     石川桃瑪
無季といふ荒野の果に立つ人よ    葛西美津子

【入選】
冷まじやレジスタンスの俳諧史    吉安友子
白文地忌まだ終らない夏の空     三玉一郎
セシウムの有無なく産まれ猪走る   金井良祐
実の赤し葉のもみづるや共謀罪?   石川桃瑪
火の恋しいまだ横浜事件の地     石川桃瑪
まだ青み残れる藁で俵編む      園田靖彦
さまざまの鳥の鳴き声茸狩      田中益美
何度でも倒れては起き芒かな     森あつ
遠くから戦争想ふ柿ひとつ      三玉一郎
戦争がもう寝台に鶏頭花       森あつ
作務座禅虚空に赤く柿一つ      鈴木伊豆山

*選者の一句
平和なり牛のまだらに陽の斑あり   マブソン青眼
夜の木に四十五羽の黒鶫       長谷川櫂

10月29日、「きごさい+」はマブソン青眼さん

きごさいBASE 投稿日:2017年10月11日 作成者: dvx223272025年9月28日


10月29日(日)の第12回「きごさい+」はマブソン青眼さん「俳句弾圧事件-その犠牲と責任を考える」です。

講 師:マブソン青眼(せいがん)
演 題 :「俳句弾圧事件-その犠牲と責任を考える」
日 時:2017年10月29日(日)13:30〜16:30(13:10 開場)
講座=13:30~14:30
句会=14:45~16:30(当季雑詠5句、選者=マブソン青眼、長谷川櫂、投句締切=14:45)
会 場:神奈川近代文学館中会議室(横浜市、港の見える丘公園、〒231-0862 横浜市中区山手町110、TEL045-622-6666、みなとみらい線「元町・中華街駅」6番出口から徒歩10分)http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

参加費:きごさい正会員1,000円、非会員2,000円
申し込み:きごさいホームページの申し込み欄から、あるいはきごさい事務局に電話、ファクシミリでお申し込みください。TEL+FAX 0256-64-8333。申し込みなしの当日参加もできます。

スマートフォンの「きごさい」、使いやすく

きごさいBASE 投稿日:2017年10月11日 作成者: dvx223272025年9月28日

「きごさい」のスマートフォンの画面が使いやすくなりました。アイコンを作成して吟行先、外出先でご利用ください。

「今月の和菓子」はじめました

きごさいBASE 投稿日:2017年9月23日 作成者: dvx223272017年9月23日

「今月の和菓子」がはじまりました。ミニエッセイと俳句と写真で毎月、その月にゆかりある和菓子を紹介します。エッセイと俳句はきごさいスタッフの葛西美津子さん。去年、句集『そして秋』を出しました。まず9月は残りわずかですが、「おはぎ」です。そして10月はあの人気のお菓子(?)です。

10月の「きごさい+」はマブソン青眼さん「俳句弾圧事件」

きごさいBASE 投稿日:2017年8月3日 作成者: dvx223272025年9月28日


10月29日(日)の第12回「きごさい+」はマブソン青眼さん「俳句弾圧事件-その犠牲と責任を考える」です。

講 師:マブソン青眼(せいがん)
演 題 :「俳句弾圧事件-その犠牲と責任を考える」

【プロフィール】
1968年フランス生まれ、本名Laurent MABESOONE。俳人、比較文学者。パリ大学日本文学科博士課程修了、学術博士(比較文学、早大)。「海程」同人、「青眼句会」主宰。信州大学、十文字学園女子大学非常勤講師。句集『空青すぎて』(宗左近俳句大賞)ほか4冊、『詩としての俳諧、俳諧としての詩』『一茶とワイン』『江戸のエコロジスト一茶』、『Journal des derniers jours de mon père』(一茶『父の終焉日記』仏訳)、『反骨の俳人一茶 Haikus satiriques de Kobayashi Issa』 『日本レジスタンス俳句撰 HAÏKUS DE LA RÉSISTANCE JAPONAISE (1929-1945)』 などの著書がある。1996年より長野市在住。

【講演の概要】
 1940年(昭和十五年)2月14日から1943年(昭和十八年)12月6日まで、当時の戦争・軍国主義を批判・風刺した俳句や反体制的な作品を作ったとして、計44人の俳人が治安維持法違反容疑で検挙され、うち13人が懲役刑を受けた。留置場で心身の苛酷な苦痛を強いられたり、釈放後に病死したりした者もいた。その事件の進行と同時に、日本の俳壇、そして日本社会全体において、言論の自由がさらに無くなり、一国が第二次世界大戦へと突進した。また、今日の俳壇までその影響が認められると思われる。弾圧の歴史的事実を検証した後、弾圧に協力したと思われる俳人の役割を考えることにし、「日本俳句作家協会」会長、のちに「日本文学報国会」俳句部長を務めた高浜虚子の責任も論じる。
 最後に、この責任問題とは別に、弾圧された俳人の名誉回復の方法を考え、現在進行中の「俳句弾圧不忘の碑」建立事業に触れる。長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」近辺に、有志で建てるという、その運動を紹介する(筆頭呼びかけ人、金子兜太・窪島誠一郎・マブソン青眼)。碑文の最後のくだり(予定文)は以下の通りである。「(弾圧された俳人の)犠牲と苦難を忘れないことを誓い、再び暗黒政治を許さず、平和、人権擁護、思想・言論・表現の自由を願って之を建立します」。詳細は公式ホームページ参照:http://showahaiku.exblog.jp/

日 時:2017年10月29日(日)13:30〜16:30(13:10 開場)
講座=13:30~14:30
句会=14:45~16:30(当季雑詠5句、選者=マブソン青眼、長谷川櫂、投句締切=14:45)
会 場:神奈川近代文学館中会議室(横浜市、港の見える丘公園、〒231-0862 横浜市中区山手町110、TEL045-622-6666、みなとみらい線「元町・中華街駅」6番出口から徒歩10分)http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

参加費:きごさい正会員1,000円、非会員2,000円
申し込み:きごさいホームページの申し込み欄から、あるいはきごさい事務局に電話、ファクシミリでお申し込みください。TEL+FAX 0256-64-8333。申し込みなしの当日参加もできます。

恋の俳句大賞(2017年春夏)は稲垣雄二さん

きごさいBASE 投稿日:2017年8月3日 作成者: dvx223272017年8月3日

【大賞】
君といふ青き島へと遠泳中       稲垣雄二

☆趙栄順選
【特選】
君といふ青き島へと遠泳中       稲垣雄二
・憧れの青き島。はるかにあればこそ魚のようにどこまでも泳いでいく。
【次点】
洞窟(がま)深く眠る恋かなひめゆり忌  川辺酸模
・戦争で断ち切られた女学生の恋。壮絶。
婚約のままの歳月広島忌        園田靖彦
・原爆で生き別れになったのだろうか。歳月の重さ、切なさ。
マスカットひとつぶごとに恋の味    岡 莞弥
・マスカットの青さが初々しい。初恋の味。
虹色の大きな恋のしゃぼん玉      岡 莞弥
・しゃぼん玉の淡さ、儚さ。虹色が美しい。
【入選】
少年は恋秘めしまま卒業す      中井一雄
しなやかに恋を貫きサンドレス    稲垣雄二
デザートのメロンすまして初デート  矢作 輝
とびやすき恋のはじめの夏帽子    浅木ノヱ
プロポーズされそうなほど星月夜   岡 莞弥
紫陽花の花びらみんな君の顔     加藤正子
春うらら恋が下手でも生きてます   岡 莞弥
七月の丘を上れば君が待つ      小島寿々
春林のなかの一樹の君に触れ     永守恭子
初恋の骨を拾ふや蝉しぐれ      松宮京生子

☆長谷川櫂選
【特選】
君といふ青き島へと遠泳中      稲垣雄二
・美しい自然があって、夢があって、恋がある。句の内容は少年か青年、句の腕前は老練な大人。
【次点】
空つぽの香水の瓶恋ひとつ      山中澄江
【入選】
美しき空きみとながめる夏よ風よ   磯見花
さよならはこいのかけらよあきのこゑ 岡 莞弥
恋人も夏が過ぎればただの人     岡 莞弥
束の間の恋に溺れる裸かな      岡 莞弥
ぬばたまの一夜を過ごし髪洗ふ    岡 莞弥
初めての朝が別れの夏となる     岡 莞弥
恋の予感す白い靴おろしけり     丸亀葉七子
夏蝶や水の香たどり胸の上      佐々木健一
ぶらんこは君に捨てられ揺れてゐる  稲垣雄二

*投句数=802句

きごさい+「薔薇の歴史と楽しみ方」報告

きごさいBASE 投稿日:2017年8月2日 作成者: dvx223272025年9月28日

7月30日(日)、第11回「きごさい+」が神奈川近代文学館で開催された。講師は、育種家で横浜イングリッシュガーデン・スーパーバイザーの河合伸志さん。(西川遊歩記)

◆植物大好き少年が、薔薇づくり、庭造りのプロになるまで
 河合伸志さんは、小さい時から植物が大好きな少年であった。花を観察したり、育てたりが楽しく、将来は画家になって植物や花を描こうと考えていた時期もある。庭には、クイーンエリザベスという薔薇があった。中学生になってから、切り花で見たブルームーンという薄紫の薔薇に出会い、その魅力に目覚める。高校生の時には、ブラックティーという茶色の薔薇に心奪われる。その頃、交配について強い興味を持ち、18歳にして新種(ウインドソング)を作出している(発表は後年)。大学院卒業後、大手育種会社の研究員として、いくつかの新種を世に送り出し、仕事の上で多くの経験重ねた後、独立。
 現在拠点としている横浜イングリッシュガーデンでは、植物に合った環境作りを心掛けている。日本の造園業者は、樹木には詳しいが、草花の知識がほとんどない。造園と園芸の両方の視点があってこそ、素晴らしいガーデンを完成することができる。横浜イングリッシュガーデンでも、例えば5月の薔薇の季節では、薔薇を主役に他の草花が咲き乱れる華やかさを目指している。傍役の花も下草も重要なのだ。
  
◆薔薇の流行と歴史 
 花を横から見ると、カップのような形になる咲き方をカップ咲きといい、現在主流の花形。ロゼッタ咲きは、小さな花びらが放射状に伸びる花形。薔薇には多彩な咲き方があり、時代によって流行がある。高島屋の包装紙は薔薇がデザインされているが、以前は剣型花弁のオーソドックスな薔薇だったが、現在は、花弁がぎっしりつまった薔薇の花の輪が描かれている。
庭園に関しても、昔は薔薇だけを配置したが、現在は薔薇以外の草花を合わせたガーデンに変わりつつある。
 鑑賞用の薔薇は、ローマ時代にすでに存在していた。薬などの実用ではなく、鑑賞用植物として2000年も栽培されてきたというのは異例の長さだ。クレオパトラの薔薇好きは有名だが、ローマ帝国歴代の皇帝は、薔薇と薔薇の香水を愛した。中世に入ると、キリスト教の、赤い薔薇はキリストの流した血、白い薔薇はマリアの純潔の象徴をとして、限られたところでの栽培となり、一般の薔薇の栽培は禁じられた。ルネサンス期には、メディチ家が薔薇園を復活。ボッティチェリの「ビーナスの誕生」には薔薇が描かれている。
 薔薇の発展に大きく貢献したのは、ナポレオンの妻ジョセフィーヌだ。世界から数多くの薔薇を収集、園芸家、アンドレ・デュポンを援助して人工交配による新品種をつくり、有名な薔薇の画家のルドウ―テに描かせ、記録させた。こうしてフランスが世界でいち早く薔薇の大国となった。

◆中国の薔薇、そして、モダンローズVSオールドローズ
 中国の薔薇は古くは唐の時代から、四季咲きの薔薇を特徴として知られていた。1800年代、プラントハンター全盛時代に、中国、日本を含む東洋の薔薇が、ヨーロッパにもたらされる。特に4種類の中国の四季咲きは「四つの種馬」として評判となる。同時に、この頃、メンデルの法則が発見され、人工交配技術が発達。1867年、完全四季咲きの花「ラフランス」(西洋薔薇と東洋薔薇のハイブリッド)が完成、モダンローズとして、以後、改良を重ね、今日に至るまで類稀なる植物に変化していく。

 薔薇は大きく分けて以下の3種類に分類される。
①野生種=ハマナス(ジャパニーズ・ローズ)をはじめ、雲南省やヒマラヤの薔薇の原種。
②オールドローズ=ヨーロッパ、1867年以前の品種。一回咲き、香り強い、優雅な花。 
③モダンローズ=四季咲き、大輪、色とりどり、バリエーション豊富。
日本にも明治時代初期に一気に薔薇が入ってくる。平成元年、薔薇が横浜の市の花と認定される。

 歴史の話の後も、薔薇の色、花型、花弁、命名権、花形、香り…河合さんの豊かな経験と映像を交えての説明が続いた。句会後の長谷川代表とのトークの中では、会場の質問にも丁寧に答えられ、大きな拍手を浴びた。ちなみに、横浜イングリッシュガーデン以外の、日本の薔薇のおすすめ鑑賞地は新潟県長岡市の「越後丘陵公園」だそうだ。海外ではニュージーランドの薔薇が群をぬいてすばらしいとのこと。

 薔薇の栽培に関する質問に具体的な回答を示した上で、「薔薇は、上から目線の花で日々の世話を要求してくる誇り高い花。日本の多湿多雨の気候が栽培を難しくしているが、薔薇と会話するように世話をすれば花は応えてくれる。」と、河合さんの薔薇と植物への愛が印象的な充実のレクチャーであった。

◆句会
☆河合伸志選
【特選】
酔うてみよ触るるばかりに薔薇の息  趙栄順
花終へてやすらぐ薔薇となりにけり  山本孝予
有り金をはたきて薔薇の命名権    石川桃瑪     
【入選】
薔薇の字や恋のごとくに難しき    上田雅子
野いばらの棘におののき刈り逃す   藤野侃
薔薇の床クレオパトラの夜妖し    鈴木伊豆山
上品の香りや朝の薔薇一輪      大平佳余子
うどん粉に疲れし薔薇や秋を待つ   岩﨑ひとみ
草花を従へて立つ秋の薔薇      西村麒麟
凱旋のテルマエロマエ薔薇万本    鈴木伊豆山
薔薇よりも息を殺して薔薇を嗅ぐ   三玉一郎

☆長谷川櫂選
【特選】
花終へてやすらぐ薔薇となりにけり  山本孝予
あかあかと薔薇の孤独や五千年    西村麒麟
イングリッシュローズの庭や草いきれ 石川桃瑪
いく万の薔薇育みし日焼かな     三玉一郎
大胆に薔薇は剪るべし剪りにけり   金澤道子
薔薇よりも息を殺して薔薇を嗅ぐ   三玉一郎
【入選】
薔薇の水替へていつもの机かな    金澤道子
上品の香りや朝の薔薇一輪      大平佳余子
けふの句を花束にせん薔薇句会    上田雅子
毬となり剣となりて薔薇咲きぬ    趙栄順
わが想ひ青空に燃ゆ夏カンナ     河合伸志

恋の俳句大賞締め切りました

きごさいBASE 投稿日:2017年8月1日 作成者: dvx223272017年8月1日

たくさんの応募ありがとうございました。応募総数は802句でした。
入賞発表までしばらくお待ちください。
今日から2017年後期分を募集いたします。

恋の句 2017上半期今日が締切

きごさいBASE 投稿日:2017年7月31日 作成者: dvx223272017年7月31日

恋の俳句大賞、今日が締切です。応募まだの方、ぜひ、大賞に挑戦してください。
下のフォームからでも投句できます。

恋の俳句大賞は年2回、次のとおり実施します。
【前期】1月末日締め切り、バレンタインデーまでに発表。
【後期】7月末日締め切り、旧暦の七夕までに発表。
【選者】趙栄順(チョ・ヨンスン)、長谷川 櫂
【投句】いつでも受け付けています。下の欄に必要事項を記入して投句してください。投句料は無料、何句でも応募できます。

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2011年5月刊行


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