恋の俳句大賞(2017年春夏)は稲垣雄二さん
【大賞】
君といふ青き島へと遠泳中 稲垣雄二
☆趙栄順選
【特選】
君といふ青き島へと遠泳中 稲垣雄二
・憧れの青き島。はるかにあればこそ魚のようにどこまでも泳いでいく。
【次点】
洞窟(がま)深く眠る恋かなひめゆり忌 川辺酸模
・戦争で断ち切られた女学生の恋。壮絶。
婚約のままの歳月広島忌 園田靖彦
・原爆で生き別れになったのだろうか。歳月の重さ、切なさ。
マスカットひとつぶごとに恋の味 岡 莞弥
・マスカットの青さが初々しい。初恋の味。
虹色の大きな恋のしゃぼん玉 岡 莞弥
・しゃぼん玉の淡さ、儚さ。虹色が美しい。
【入選】
少年は恋秘めしまま卒業す 中井一雄
しなやかに恋を貫きサンドレス 稲垣雄二
デザートのメロンすまして初デート 矢作 輝
とびやすき恋のはじめの夏帽子 浅木ノヱ
プロポーズされそうなほど星月夜 岡 莞弥
紫陽花の花びらみんな君の顔 加藤正子
春うらら恋が下手でも生きてます 岡 莞弥
七月の丘を上れば君が待つ 小島寿々
春林のなかの一樹の君に触れ 永守恭子
初恋の骨を拾ふや蝉しぐれ 松宮京生子
☆長谷川櫂選
【特選】
君といふ青き島へと遠泳中 稲垣雄二
・美しい自然があって、夢があって、恋がある。句の内容は少年か青年、句の腕前は老練な大人。
【次点】
空つぽの香水の瓶恋ひとつ 山中澄江
【入選】
美しき空きみとながめる夏よ風よ 磯見花
さよならはこいのかけらよあきのこゑ 岡 莞弥
恋人も夏が過ぎればただの人 岡 莞弥
束の間の恋に溺れる裸かな 岡 莞弥
ぬばたまの一夜を過ごし髪洗ふ 岡 莞弥
初めての朝が別れの夏となる 岡 莞弥
恋の予感す白い靴おろしけり 丸亀葉七子
夏蝶や水の香たどり胸の上 佐々木健一
ぶらんこは君に捨てられ揺れてゐる 稲垣雄二
*投句数=802句