「歳時記学」第7号が完成しました。まもなく会員の皆様のお手元に届くと思います。昨年末の完成予定が大幅に遅れたことをお詫び申し上げます。
「恋する二月」と題した特集で、歌人の岡野弘彦さんが「古事記」から「新古今和歌集」までの古典から「恋の歌」百首を、詩人の高橋睦郎さんが室町期から現代までの俳諧・俳句から「恋百句」をそれぞれ選び、解説しています。
月初めに立春を迎えるとはいえ寒さが残りくすんだイメージだった二月が、近年春節(旧正月)とバレンタインデーという2大行事により存在感を増してきたことを長谷川代表が「恋の月に生まれ変わった」と書いています。バレンタインのメーンの贈り物であるチョコレートの歴史について武田尚子・早大教授に、また百貨店のバレンタインをはじめとした季節の提案について川島蓉子・ifs未来研究所長に、寄稿していただきました。さらに「カフェきごさい」のエッセイは今号も読み応え十分です。新暦と旧暦を併記した「日本の暦」も気ぜわしい日々の生活にうるおいを与えてくれるものと思います。どうぞお役立てください。
さて、編集部では来春をめざして第8号の準備を進めています。特集のテーマは「俳句の宇宙性」です。会員の皆様の中には俳句を詠まれる方も多いと思います。俳句に詠みこむ歳時記の季語(季題)とは、太陽系における地球の公転、自転によって生まれる季節の言葉です。そう考えると俳句は宇宙と向き合っている詩であることが分かります。古来、俳人たちは日月星辰を詠み、鋭い感性で宇宙の静寂をとらえてきました。現代の科学は宇宙をより身近なものにし、地球や月の鮮明で美しい画像がもたらされ、火星に生命が存在する可能性が高まるなど、宇宙への人びとの関心は一段と高まっています。
そこで次号では、俳人、僧侶、哲学者で「虫の夜の星空に浮く地球かな」(『夏の峠』)など宇宙性豊かな代表句を持つ大峯あきらさん、俳人で「水の地球すこしはなれて春の月」などを収めた句集『静かな水』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した正木ゆう子さんに寄稿していただきます。古今の「宇宙性俳句百句選」も紹介する予定です。さらに「続・恋の歌」と題して前号に続き、歌人の岡野弘彦さんに近世から現代までの恋の和歌・短歌を選んで解説していただきます。ご期待ください。(「歳時記学」編集長、藤英樹)



