第3回恋の俳句大賞に森篤史さん
第3回「恋の俳句大賞」(主催・きごさい)は森篤史さんの次の句に決定しました。来年、ハウステンボスに森さんの句のプレートを設置します。選者は長谷川櫂、趙栄順。
初恋の真つ只中や扇風機 森篤史
恋にはさまざまな恋がありますが、大賞となると、爽やかでかつ大柄な感じが必要です。その点、この句はまさにぴったりの句でした。(長谷川櫂)
恋の熱を冷ます扇風機ではあるまい。風の爽やかさ、勢い…。初恋ならでは。(趙栄順)
*趙栄順選
【特選】
初恋や二人で覗く蝌蚪の国 山本桃潤
これも初恋。蝌蚪の国はメルヘンではない。先の見えない恋に対する漠とした怖れ、不安。
あんなやつまつぴらごめんさくらんぼ 北側松太
「まつぴらごめん」と言いながら憎みきれないあいつ。いじらしい女(男?)心。
恋しさと寒さは背中からどつと 佐々木まき
「背中からどつと」に恋の切実さが感じられる。
【入選】
ほかほかの鯛焼一つほどの恋 北側松太
こんな恋なら長続きしそう。
唇の好きと動けり夏の海 川辺酸模
波の音が肝心な言葉を消していく。
桜貝拾うて恋となりにけり 北側松太
桜貝の魔法?
ハンカチに昔の恋の残りゐる 和田康
慎み深い昭和の恋。
掬っても掬っても恋落ちる夏 小島寿々
恋は厄介。どうにも成就出来ない恋。
抽斗の奥の恋文遠花火 小島寿々
追憶の恋。遠花火が思い出させる。
罪深き恋となりたる扇かな 北側松太
白秋でしょうか。それとも立原正秋?扇が意味深。
駅で逢ひ駅で別るる恋いくつ 佐々木まき
渋谷、新宿、東京駅?都会のドライな恋模様。
すき焼きやこれからもつと君を知る 今野浮儚
プロポーズの殺し文句。湯豆腐じゃだめ。
この恋の行方見えたり夕端居 佐々木まき
恋をすると目がかすむ。でもある時ふと視力がもどる。見えてきてしまう夕端居。
*長谷川櫂選
【特選】
初恋の真つ只中や扇風機 森篤史
ハンモック寝そべり恋を待っている 小島寿々
ただ恋とありますが、次の恋にちがいありません。恋を失くしてあせるでもなく、あわてるでもなく、気怠そうに寝そべって余裕が感じられます。
蜜豆にきのうの恋がかくれんぼ 小島寿々
蜜豆に寒天や蜜柑やサクランボや豆が入っている。そのなかに過ぎ去った恋も隠れていそう。「きのうの恋」という見えないものを見えるように詠んでいます。
【入選】
八月三十二日へラブレター 織田亮太朗
夏の果破れた恋はピザに入れ 小島寿々
ほかほかの鯛焼一つほどの恋 北側松太
なんとなく恋愛上手ところてん 和田 康
あんなやつまつぴらごめんさくらんぼ 北側松太
失恋の身に追討ちの暑気あたり 北側松太
恋の果て妻のお襁褓を替えて夏 山本桃潤
すき焼きやこれからもつと君を知る 今野浮儚
香水や二度目の恋にある余裕 森篤史
