第10回「きごさい全国小中学生俳句大会」講評会開催
第10回「きごさい全国小中学生俳句大会」は、例年、リアルで行われる表彰式を、2021年3月13日(土)の午後2時から、リモート(ズーム)による講評会として開催をした。
小山正見大会実行委員長から、「参加者の数が史上最高であった」ことなどの報告の後、開会が宣言された。きごさいの長谷川櫂代表の進行で、選者の小山正見日本学校俳句研究会代表、俳人の高田正子さん、長谷川代表の順で、自ら選んだ特選句についての評価や感想が次々述べられていった。
今年の「大賞」句
こおろぎは風に ♪ をつけている 田中保希 江東区立東陽中学校1年
長谷川代表が「どのようにこの句ができたのか? ♪と書いたところが素晴らしいが、最初から♪を入れようと考えたのか?」と田中君に質問すると、「僕の誕生日が秋なので、こおろぎのことを思い出しながら、句を作りました。音符は最初、漢字を書いたが、♪の方がいいかなと思って変えました」と喜びにあふれた表情で語った。
引き続き、日本学校俳句研究会の山本新先生と、きごさいを代表して飛岡光枝さんの講評が行われた。入室している入賞者の句はすべて取り上げられて、作者に句を作った気持ちなどを質問。・手袋をなくした右手ポケットに(三田村和音 小六)、・うろこ雲思い出せないあの漢字(岩淵凌我 小六)、・弟に光りを分けた花火かな(金子優希 小六)、・さようなら義務教育の暑い夏(田中菜々美)、・秋燕忌母の使っていた辞典(前薗輝 中1)・・・など複数の選者が選んだ句と来場している作者の句が、画面に映し出された。
俳人の高田正子さんは「コロナ禍というがまんの日々ではあるが、俳句は祈りでもあり、投句された句のレベルは前年と比べ充実していると感じた」と話された。小山正見、山本新両先生も「コロナの状況の中で、想像力を羽ばたかせた作品が多く、活性化を感じた」。一方、長谷川櫂代表は「レベルアップの半面、大人の真似らしき句も散見され、問題点として考えていきたい」と総括した。
会場に、鹿児島、岐阜などの俳句教育に熱心な先生が参加されていて、各地の先生方のコメントもたいへん新鮮であった。10年間、俳句大会を続けて来て、その間、『こども歳時記』の発刊などの収穫を得て来たが、次の10年は、さらに教育現場に近いところから「こども俳句」について一家言をもつ先生方の登場と活躍を期待している。
(記録:西川遊歩=きごさい副代表)