第11回きごさい全国小中学生俳句大会リモート講評会の報告
第11回きごさい小中学生俳句大会には、昨年を上回る117校18706句の応募がありました。この大会の最大の特徴は、俳句の専門家である俳人と学校現場の教師が協力して選句と運営に当たっていることです。
本来は、風光明媚な清澄庭園で表彰式を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今年も選者によるリモートに講評会を3月12日(土)に開催しました。このリモート講評会には、選を受けたこどもたちをはじめ、指導された学校の先生、きごさいメンバーなど約60名が参加しました。
きごさい副代表の西川遊歩さんが大会の概要について説明し、講評会がスタートしました。実行委員長の小山正見さんが司会を担当し、選者の長谷川櫂さん(きごさい代表)、髙田正子さんにきごさいの飛岡光枝さん、日本学校俳句研究会の上澤篤司さんが加わり、講評が行われました。
大賞は、
『コスモスのわけめはねこのとおる道』
選者の長谷川櫂代表、高田正子さん、飛岡光枝さんから講評をいただきました。「〈わけめ〉の言葉の選択がすばらしい。コスモスが揺れている中、掻き分けたような道をねこが行く風景が伝わってきます」と。
作者本人も登場し、「ねこかいぬのどちらかだと思い、ねこが落ち着くと思いました」と明快に解説してくれました。
入選の
『学校のつめたいほうき落葉はく』
この句は茨城県の学校の取り組みで生まれた俳句で、実際に落葉掃きをした後、詠んだそうです。指導に当たった先生から「〈つめたい〉と〈落葉〉が季重なりになってしまっていますが、よいのでしょうか?」という質問がありました。「〈つめたい〉に発見があり、実感があるので、このままでよい」と、指導の方向性が示されました。やはり経験したことは、いきいきとした句になる実例の一つと思います。
『母の日を忘れてしまってすみません』
『風鈴の下でまってるおばあちゃん』
『白い息冬のしあわせつまっている』
これらの句は、純粋で素直なこどもの視点がよいと評価されました。
『しょう油味南瓜の煮物ほくほくと』
この句の講評にはお母様も登場。俳句は親子の絆を深めることもある、と再確認させてくれました。他の料理の句、『母さんはやきそば名人文化の日』は特選です。
『春の風やさしい人になりたいな』
これは日本学校俳句研究会の現場の教師が選んだ20句選の中の一句。
「〈やさしい人になりたいな〉と思うことがやさしい」と評されました。
長谷川代表からは「現場の先生ならではの、教育者としての選が良い」と言っていただきました。大変心強い現場の教師へのエールでした。
俳人、現場の教師、こどもたち、保護者、それぞれが発言し、60名の活気ある充実した講評会となりました。
入選や佳作の俳句を読み、感想を言い合い、俳句への関心をさらに深めていただけたら、と願っています。
日本学校俳句研究会 吉田祥子