小山正見さんの句集『大花野』、東京新聞に紹介されました。
日本学校俳句研究会代表で、きごさい全国小中学生俳句大会の実行委員長を務める小山正見さん(74)が句集『大花野』(朔出版、1650円)を上梓した。認知症の妻(74)との十年間の生活の中で詠んだ三十六句を収めている。東京新聞(4月14日付朝刊)記事に取り上げられた。
小山さんが妻の異変に気づいたのは2012年秋。東京新聞記事によれば、小山さんが妻に頼まれた買い物をして帰宅すると、「頼んでないわよ」と言われたという。その後も気になる言動が続いた末、脳が委縮するアルツハイマー型認知症と診断された。
大学時代から交際を始めて結婚したという夫婦。介護の苦労も多かったが、持ち前の明るさとバイタリティーで愛する妻に献身的に接してきた様子がそれぞれの句から伝わってくる。(藤英樹)
荒梅雨の花に水やる君と居て
「あなたのは」とばかり訊く妻さくらんぼ
徘徊に誘ふ秋の螢かな
ここはどこあなたはだあれ大花野
家に居て帰るてふ妻秋彼岸
長き夜や妻の寝息を確かむる
憚らず肩を抱きし冬の道
冬至風呂パンツもブラも新調し
二人して枯れた緑を見てをりぬ
春満月道なき道を照らしをり