野稗(のびえ) 初秋
【子季語】
犬稗/毛犬稗/水稗/草稗
【解説】
イヌビエの別称として野稗さすこともあるが、概はヒエ属の野生種を総称してノビエという。
【科学的見解】
野稗は、日本の野生種であるヒエ属全体をさす広義の意味とその一種のイヌビエのみをさす狭義の意味が含まれる。栽培穀物であるヒエに対して、日本のイネ科ヒエ属の野生種は五種(変種を含む)存在しており、その代表がイヌビエである。イヌビエは、本州から琉球までの水田周辺に生育し、小穂に長い芒がある個体から無芒まで変異の幅が広いため、識別に苦労する。その他には、小穂の大きいタイヌビエや小穂が小さいワセビエ、またヒメタイヌビエ、ヒメイヌビエが存在する。(藤吉正明記)