万緑(ばんりょく)三夏 季語と歳時記 【関連季語】 茂、青葉 【解説】 夏の山野をおおう植物の満目の緑をいう。「茂」よりも広範囲な情景である。 【来歴】 王安石の「石榴詩」「万緑叢中紅一点、動人春色 不須多」が出典とされ、中村草田男の「万緑の中や吾子の歯生え初むる」の句によって新季語となる。 【例句】 雲を根に富士は杉なりの茂りかな 芭蕉「続連珠」 篠(ささ)の露袴にかけししげり哉 芭蕉「後の旅」 万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男「火の島」 万緑やどの道をどう行かうとも 長谷川櫂「初雁」