木下闇(こしたやみ)三夏
【子季語】
木の下闇、下闇、青葉闇、木の晩、小暮
【関連季語】
緑陰
【解説】
鬱蒼と茂る木立の下の暗がりのこと。昼でも暗く涼しい。夏の強い日差しのもとでは闇のようである。
【来歴】
『俳諧御傘』(慶安4年、1651年)に所出。
【文学での言及】
木の暗の繁き尾の上をほととぎす鳴きて越ゆなり今し来らしも 大伴家持『万葉集』
望月の駒牽く時は逢坂の木の下闇も見えずぞありける 恵慶法師『後拾遺集』
【例句】
須磨寺や吹かぬ笛聞く木下闇
芭蕉「笈の小文」
霧雨に木の下闇の紙帳かな
嵐雪「小弓俳諧集」
灰汁桶の蝶のきげんや木下闇
一茶「文化句帖」
あゆみあゆみあとや見らるる木下闇
千代女「真蹟」
滝の音四方にこたへて木下闇
蝶衣「蝶衣句集」
水甕のみづに穴ある青葉闇
長谷川櫂「古志」