茂(しげり)三夏
【子季語】
茂み、茂る、野山の茂り、茂り葉
【関連季語】
万緑、草茂る
【解説】
夏、草木が盛んに枝葉をおい茂らせること。鬱蒼とした樹木は、夏の強い日差しを遮り、暗い森の中の「滴り」をさそう。山全体の茂もさす。樹木だけではなく、草むらにも用いる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
茂りゆく軒の木蔭の雨のうちになほ雲暗き夏の空かな 藤原為家『夫木和歌抄』
【例句】
嵐山藪の茂りや風の筋
芭蕉「嵯峨日記」
光り会ふ二つの山の茂りかな
去来「枕かけ」
伊香保寝や茂りを下る温泉の煙り
一茶「寛政句集」
貝吹けば小虫こぼるるしげりかな
梅室「梅室家集」
道ばたに只一本の茂り哉
正岡子規「寒山落木」
棹伏せて舟すべり入る茂かな
長谷川櫂「虚空」