朧月(おぼろづき)三春
【子季語】
月朧、淡月
【関連季語】
朧、春の月
【解説】
春の夜の朧な月をいう。澄んだ秋の月に対し、春の月は水蒸気のベールがかかったように見える。暈のかかることもある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【例句】
猫の恋やむとき閨の朧月
芭蕉「泊船」
花の顔に晴れうてしてや朧月
芭蕉「続山の井」
朧月一足づつもわかれかな
去来「炭俵」
手をはなつ中に落ちけり朧月
去来「泊船集」
大原や蝶の出て舞ふ朧月
丈草「炭俵」
川下に網うつ音や朧月
太祇「太祇句集」
草臥て物乞ふ宿やおぼろ月
蕪村「新五子稿」
手枕に身を愛す也おぼろ月
蕪村「新五子稿」
瀟湘の雁のなみだやおぼろ月
蕪村「蕪村句集」
女倶して内裏拜まんおぼろ月
蕪村「蕪村句集」
藥盜む女やは有おぼろ月
蕪村「蕪村句集」
よき人を宿す小家や朧月
蕪村「蕪村句集」
さしぬきを足でぬぐ夜や朧月
蕪村「蕪村句集」
朧月露国遠しと思ふとき
飯田龍太「山の影」